車庫に流れ込んだ泥をかき出す住民＝２６日午後２時１５分、上市町釈泉寺

　25日に観測史上最大となる1時間最大146・5ミリの大雨を記録した上市町では26日、町職員や住民が道路や建物、農作物などの被害確認や土砂の撤去に追われた。30日には富山県内に台風10号が最接近する可能性があり、土木関係者らはさらなる土砂災害の発生に備え、復旧作業に集中した。 　幅約30メートルにわたって土砂崩れが起きた下田の県道では、土木業者が重機2台で土砂を撤去した。道路を覆っていた土や、崩れた斜面にたまっていた土石をすくい、トラックに積み込んだ。 　建設会社「酒井建設」（上市町）の作業員、石黒真さん（44）は、「自然災害はいつ起きるか予測できない。早めに撤去を進めたい」と話した。 　釈泉寺では25日の大雨で用水があふれ、民家の車庫に土砂が流入した。車庫を所有する無職男性（80）によると、自宅近くの県道側溝から大量の雨水とともに木の葉や枝が混じった土砂が流れてきた。側溝の水を排出する用水が詰まって噴き出してきたという。 　男性は泥をかき集めながら、「今まで見たことのない雨だった。暑くて作業はやめようかと思ったが、土砂が軟らかいうちに片付けないといけない」と語った。 　町職員は、町内の被災箇所や、水害の恐れがある危険箇所を見て回り、対応にあたった。土砂崩れが起きた東種の町道は25日中に土砂の撤去が完了し、通行止めを解除した。 　　●「さらなる被害に警戒」上市町長 　中川行孝町長は大雨の対策本部を立ち上げ、台風接近に備えて今回の被災箇所の早期復旧を指示したとし、「山側で想像以上に雨が降ったが人的被害がなかったのは幸いだった。台風によるさらなる被害を懸念している。常に警戒心を持って状況把握に努める」と強調した。