なぜ「N-BOX」は日本で一番売れるのか? 新型「N-BOXカスタム」をロングドライブして分かったこと。
トータルで430kmを試乗、N-BOXの実力はどうだった?
試乗したのは3月末。往路は強い雨の中央道で、途中でスリップ事故が起きていたほど路面はヘビーウェット状態だった。表面積が広く垂直に立っているフロントグラスに当たる雨の音が結構大きくて、自慢の静粛性を感じることができたのはトンネル通過の短い時間だけだった。ただし、走行性能面には全く不満がなく、途中でACCを使ってみても追従性能はバッチリで、普通車の流れにしっかりと付いていってくれた。 蓼科(たてしな)への登りの山岳路でも動力性能や足回りには全く不満なしで、トータル3時間ちょっとで到着することができた。フロンのベンチシートのような形状の座面については、乗車するまでは間違いなくお尻が痛くなると思っていたが、表皮の張りと材質がきちんと吟味されているせいか、結果的には快適そのものだった。 宿泊先の蓼科東急ホテルでは、大きな暖炉でマシュマロを焼いて作るスイーツ「スモア」と楽しんだり読書をしたりと、静かな時間を過ごすことができた。 翌朝は、前日の雨と明け方の雪、さらに氷点下4度という低い気温のせいで、ホテル周辺の道路がガッチガチのアイスバーンと化していた。その路面状態を見てちょっとビビってしまったのだが、今回乗ってきたN-BOXは高性能なスタッドレス(ブリヂストン・ブリザックVRX3)を履いた4WD仕様だったおかげで無事にクリア。 50km離れた清里にある「八ヶ岳アウトドア・アクティビティーズ」で午前9時から開催されるセグウェイツアーになんとか間に合わせることができた。敷地内や付近のブルーベリー畑の中をセグウェイで巡るのはとても楽しく、狭い農道にN-BOXを持ち込んで2ショット撮影することにも成功した。 ここまで253km走り、清里で給油。使用したレギュラーガソリンは20.6L。満タン法で12.29km/L、メーターの平均燃費は12.9km/Lを表示していた。都内までの帰路は下り坂が多く晴天だったので、新型N-BOXが持っている静粛で快適な走りを堪能。トータルで430km走り、31.1Lのガソリンを使用。満タン法で13.7km/L、メーターの平均燃費は13.5km/Lとなっていた。 燃費についてはもう少し伸びるのでは、と思っていた(カタログ値は18.4km/L)のだが、アップダウンの多い道を走り回った結果としてはこの辺りが妥当なところかもしれない。走行性能や積載能力などの面でほぼ満足のいくクルマであることは明確で、売れているからさらに売れる「国民車」になっている状況が本物であることを理解できた。 試乗車は「N-BOX CUSTOM ターボ コーディネートスタイル 2トーン」の4WDモデル。236万2,800円の価格に、メーカーオプションの9インチHonda CONNECTナビ、ディーラーオプションのナビ連動ETC2.0、ドライブレコーダー、フロアマットなどを装備したこのクルマは273万4,600円(税込)という立派なプライスタグを掲げていた。
文と写真=原アキラ