OPECの石油供給削減は停滞、イラクが生産枠上回る供給を継続
(ブルームバーグ): 石油輸出国機構(OPEC)の供給削減が滞っている。イラクが2カ月連続で割り当てられた生産枠を上回る生産を続けたことが背景にある。同国はOPECの合意に従わないことも多い。
OPECが12日発表した報告によると、イラクの2月の生産は平均で日量420万バレルと前月から同1万4000バレルの減少にとどまった。OPECで合意された生産枠を同約20万バレル上回ったことになる。
サウジアラビアを中心とするOPECと、非加盟の産油国で構成される「OPECプラス」は、世界的な供給過剰に歯止めをかけ原油価格を押し上げようと、供給を抑える意向を表明。世界需要の伸びは鈍化し、競合する米大陸の生産は拡大しているものの、OPECプラスの供給抑制で北海ブレント原油先物は1バレル=80ドルを超えた。
OPECプラスは今月、現行の産油抑制措置を6月末まで延長することに合意した。今回の報告に従うと、サウジやアラブ首長国連邦(UAE)、クウェート、アルジェリアなどの加盟国は生産枠を順守している。だが、イラクが守っていない結果、全体としては依然不完全な履行にとどまる。
イラクのアブドルガニ石油相は先週、日量400万バレルの生産枠を守ると記者団に述べ、これを上回る生産があれば追加的な減産で対応すると言明した。だが、荒廃した経済の復興に資金を必要とするイラクは、OPECプラスの合意に違反してきた長い歴史がある。
22カ国から成るOPECプラス全体で見ても、統制に欠ける。
対ウクライナ戦争継続のため収入を維持する必要があるロシアは、今月10日の終了週に海上原油輸出量が今年最高に達したことが、最新のタンカー追跡データで明らかになった。同国は4-6月(第2四半期)には原油生産抑制にいっそう注力するなどで、OPECプラスの合意履行を強化する意向を示している。
カザフスタンもイラク同様、産油量が合意された生産枠を超えていると認め、追加減産で補うと約束した。