何かとトクしやすい美人・イケメンより「人生満足度が高い人」の一つの特徴
美人やイケメンはみんなからやさしくされる
顔立ちが整っている人、いわゆる美人やイケメンは、たいていの人からやさしくしてもらえます。本当に羨ましいですし、「世の中ってホントに不公平だなあ」と文句のひとつも言いたくなってしまうものですが、それが事実なのですからどうしようもありません。 最近は、ルッキズムが問題視されており、容姿のことを言ってはいけないという風潮ですが、美人とイケメンは、何かとトクをしやすいのです。これは、研究でも明らかにされています。 たとえば、もしどこかに荷物を置き忘れても、顔立ちがよい人ならきちんと届けてもらえます。米国インディアナ州にあるアールハム大学のピーター・ベンソンは、中西部のとある空港の公衆電話のブースに、わざと書類を置き忘れておくという実験をしたことがあります。 書類は、大学院受験の応募用紙なのですが、その用紙には受験者のものらしい写真が貼りつけてありました。写真は4種類用意されていて、魅力的な男性、魅力的な女性、そうでもない男性、そうでもない女性の4種類です。書類にはすでに切手が貼られており、それを投函してもらえるかどうかを測定してみたのです。書かれていた送り先の住所は、ベンソンの研究室でした。では、最終的にどれくらい届いたのでしょうか。 離れた場所から観察したところ、全部で604人(男性442人、女性162人)が公衆電話のブースを使っていました。実際に戻ってきた書類は、魅力的な写真が貼られていた場合では47%、そうでもない人の写真を貼っていた場合では35%でした。ただし、男女差はありませんでした。 この結果は、顔立ちがよい人ほど、親切にされやすいということを示しています。顔立ちがそれほどよくない場合では、わざわざ書類をポストに投函してあげよう、という気持ちにならないようです。 会社でもそうでしょう。美人の女性は、やはり職場の人たちからチヤホヤされやすいでしょうし、もし困ったことがあっても、「どうしたの?」「大丈夫? 手伝おうか?」とやさしい言葉をかけてもらえる可能性が高いです。 その点、顔立ちがそれほどよくない人は、なかなか助けてもらえないという悲惨な状況に陥りやすいといえます。 私たちは、小さな頃から平等であることや公平であることの価値を学ばされるものですが、現実には、公平な扱いをしてもらえるということはなかなかありません。それが世の中の悲しい現実といえるでしょう。
内藤誼人(心理学者、立正大学客員教授)