中国経済のホットワード「新たな質の生産力」をどう理解するか
【CNS】「新たな質の生産力」(New Quality Productive Forces)は、中国経済のホットワードとなっている。中国国内では、このトピックについて様々な分野で深い議論が交わされ、多様な解釈がなされている。国際的な視点から見て、私たちはこの「新たな質の生産力」をどのように理解すべきか?最近、北京大学(Peking University)新構造経済学研究院の学術副院長兼中国国内シンクタンク部主任、王勇(Wang Yong)氏が取材を受けた。 王氏によると、供給側から見れば、中国の伝統的な生産モデルによって生産される製品は、その比較優位を徐々に失いつつあるという。一方、需要側から見れば、中国の内需は量から質への転換を遂げつつあり、環境問題への緊急な対応も求められている。したがって、中国は積極的な変革の推進の必要があり、それは戦略的な主導性と先見性をより良く反映するだけでなく、発展の内在的な要求と基本的な論理にも適合している。 「新たな質の生産力」は、ハイテク、高性能、高品質のイノベーションに支えられるべきで、明確な産業支援が不可欠だ。これには、戦略的新興産業や未来産業なども含まれる。新たな質の生産力に対応するためには、教育、科学技術、人材育成の制度政策を含む生産関係の改善と向上が求められる。 王氏は、「新たな質の生産力」への移行には一定のプロセスが必要で、「一律の対応」によって達成できるものではないと指摘している。中国は人口が多く、人材資源に恵まれているため、この利点を十分に活かし、伝統産業と新興産業の両方で新たな質の生産力の向上を図るべきだという。 イノベーションの推進において、市場が主導的な役割を果たすべきであり、企業による不断の試行錯誤とイノベーションを奨励すべきだ。中国は、「0から1へ」のオリジナルのイノベーションと「1からNへ」の再イノベーションをバランス良く進める必要があり、アメリカやドイツ、日本のイノベーションの優位性を組み合わせ、自国のイノベーション能力を向上させるべきだ。 産業政策に関して、王氏は以下の提案をしている。政府は直接免税または減税といった優遇税制を進めるべきであり、税金を先に徴収してから補助金を支給するというやりかたは避けるべきだ。企業に補助金を支給する際に、明確な基準と期限を設定し、補助金詐欺や遅延を防ぐべきだ。産業政策は時代に合わせてダイナミックに調整されるべきであり、一貫性と安定性を保ちつつ、制限的な産業政策を慎重に策定するべきだ。最後に、産業政策は国際的なコミュニケーションをしっかりと行い、事前にコミュニケーションの準備を整えるべきだという。(c)CNS/JCM/AFPBB News ※この記事は、CNS(China News Service)のニュースをJCMが日本語訳したものです。CNSは1952年に設立された中華人民共和国の国営通信社です。