J1王者を追い詰めた! FC今治、神戸に大善戦
平日、水曜の夜、スタジアムにはクラブ史上3番目の多さとなる5097人が応援に駆け付けた。J3のFC今治は4月17日、Jリーグ・YBCルヴァン・カップ1次ラウンド2回戦で今治里山スタジアムに昨季のJ1王者、神戸を迎えた。延長にもつれ込む熱戦は、延長前半にPKを献上した今治が最終的に1-2で敗れたが、ベンチスタートだった神戸のレギュラークラスを次々と引きずり出す堂々の戦いぶりがファン、サポーターの心を大いに熱くした。(大中祐二) 試合開始早々の4分。弓場堅真が左足で上げた右CKを、ゾーンで守る神戸の選手たちの間を縫うようにニアに回ったセンターバックの市原亮太が頭で合わせて、FC今治が先制したのだ。 今治はいつもと違うメンバー、フォーメーションで神戸戦に臨んだ。今季、JFLのHonda FCから加入した弓場、3年目のボランチ佐藤璃樹がプロ初先発。通常の4-4-2ではなく、リーグ戦ではリードして勝ち切る際に用いる3-4-2-1で試合をスタートさせた。 秀逸だったのが、神戸のプレスを剝がして前進し続けた攻撃だ。それを可能にしたのが、トーマス・モスキオンと佐藤のボランチコンビである。特に、神戸の強烈な寄せをすんでのところでかわし、ボールを循環させた佐藤の伸び伸びしたプレーが光った。 意気込みすぎることなく、落ち着いてプレーする佐藤は、15分には高い位置まで出ていって、ペナルティエリア内の松本に的確にパスを通す。松本の折り返しから阪野が合わせる決定機は神戸GKオビ・パウエル・オビンナの好セーブに阻まれたが、スタジアムは大いに盛り上がった。何よりも、今治がサッカーの質で神戸に引けを取っていないことが表れたシーンだった。 前半終了間際にCKから失点して試合は振り出しに戻ったが、今治は90分間、神戸に一度もリードを許すことなく戦った。連戦の神戸も先発全員をリーグ戦から入れ替えてきたが、今治のポテンシャルとクオリティーは評価されてしかるべきだ。何よりメンバーが変わり、フォーメーションが変わっても、FC今治としてやるべきことを貫けたことが最大の収穫である。
愛媛新聞社