ひろゆき氏も知らなかった?「国民健康保険」のしくみ。自治体によって保険料が違うワケ
ひろゆきこと西村博之氏が、 11月25日にビジネス動画メディア『ReHacQ-リハック-』のYouTubeチャンネルに出演。 同チャンネルで元新潟県知事で立憲民主党衆議院議員の米山隆一氏が「地方の医師不足を解決するために、健康保険組合の統合が必要」と述べたが、ひろゆき氏は「健康保険組合の統合は実現している」と主張。これに対して医師でもある米山氏は「国民健康保険という制度としては1つだけど、組合は市町村ごとだから実現していない」と説明。 ひろゆき氏がさらに「(地域が違っても)サービスや金額は一緒ですよね?」と反論すると、米山氏は「保険組合は資金の大きさで保険機能が変わるので、地域によってできるサービスも金額も変わる」と語った。 ●健康保険料は地域によって年間4万円もの差が 国民健康保険は、個人事業主や退職者、無職の人などが加入する制度だ。医療機関での自己負担3割は全国一律だが、保険料には地域ごとに差があるという。 実際に調べてみると、平成29年度の保険料の年額(標準化保険料算定額)は、徳島県が年14万5,629円と最も高く、最も低い埼玉県年10万2,533円と比較すると、その差は1.4倍になる。 なぜ国民健康保険は、地域ごとに金額やサービスが異なるのだろうか。特定社会保険労務士の資格を持つ蝦名和広税理士に聞いた。 ●保険料は地域の違いや医療の利用状況等で決まる まず、地域ごとに保険料が異なる原因についてお話いたします。 国民健康保険は各都道府県が保険者として運営しており、保険者ごとに保険料率の決定方法・基準が違うからです。ポイントを絞ってみていきましょう。 ・地域の違いによる保険料額 所得割(所得に応じて計算される保険料額)計算の際に適用される料率や均等割(加入者の数に応じて計算される保険料額)は、地域ごとの所得水準や生活水準、経済活動の違い等も考慮されて各市町村で決定されます。各市町村の条例によって料率は異なるものですので、保険料は各市町村で異なるということになるのです。 ・医療の利用状況による保険料額 地域住民の医療利用程度や高齢化率によって医療サービス量が増えると、保険者が負担する医療費の総額が比例して増加します。医療費が多くかかる地域では、それに見合った保険料額が必要になります。 上記の他にも、さまざまな要素をもとに、地域ごとに異なる国民健康保険料が決定されるのです。 ●自治体の判断により給付の可否を決められるサービスも 次に、サービスの違いが発生する理由についてみていきます。 国民健康保険法にて定められた給付サービスには、「法定給付」と「任意給付」の2つのカテゴリーがあります。また、「法定給付」については、「絶対的必要給付」と「相対的必要給付」の2つに細分化されます。 療養の給付、高額療養費、移送費といった「絶対的必要給付」は、法令で規定されている給付なので、どの地域でも同一のサービスを受けることができます。 一方、出産育児一時金、葬祭費・埋葬料といった「相対的必要給付」や、傷病手当金、出産手当金などの「任意給付」は、自治体の判断により給付の可否や内容を決めることが可能です。サービスの違いが発生するのは「任意給付」が自治体の裁量によるところが原因と言えるでしょう。 上記以外にも「全国健康保険協会」や「健康保険組合」など、さまざまな保険者が健康保険事業を運営しております。それぞれ異なる制度のもとで運営しておりますので、一度ご自身の保険証を確認し、利用できる給付制度の確認をされてみてはいかがでしょうか。 【取材協力税理士】 蝦名 和広(えびな かずひろ)税理士 特定社会保険労務士・海事代理士・行政書士。北海学園大学経済学部卒業。札幌市西区で開業、税務、労務、新設法人支援まで、幅広くクライアントをサポート。趣味はジョギング、一児のパパ。 事務所名 :Aimパートナーズ総合会計事務所 事務所URL:https://office-ebina.com
弁護士ドットコムニュース編集部