北海道産コンブ 水揚げ量減少に悲鳴
専門家がコンブの水揚げ量減少の主な原因として挙げるのが、海水温の上昇です。コンブは冷たい海水を好み、環境の変化に敏感とされます。成長に適した海水温は、10度から11度が理想とされていますが、近年は20度前後で推移し、去年の夏はさらに25度前後まで達しました。 道総研中央水産試験場の清水洋平部長は「高水温にコンブが耐えられず一部が枯れた。枯れなくても高温で弱ってシケや強い流れの影響で流された。千島列島の方から来る親潮の冷たい水の勢いが近年弱まっている。それも要因で高水温が続いているのではないか」と分析します。 こうした状況を受け、道は先月、コンブの生産安定に向けた検討会議を発足させました。日高や利尻など各産地の現状を把握した上で、天然コンブの資源量の確保や養殖の可能性を探る方針です。 地域では、独自の取り組みも続けています。釧路東部漁協では来年以降の資源量を確保するため、漁の時間を制限し、採るコンブの量を自主的に減らしました。 道東や日高の漁協では、秋以降、コンブの生育を妨げる海藻の駆除などに力を入れる方針です。 コンブ漁は重労働のため、かつて1万4千人いた漁師はおよそ3分の1にまで減りました。漁業関係者からは「資源が回復しないと担い手不足に拍車がかかる」との声も絶えません。 海外でも日本食人気が高まる中、減り続けるコンブの資源を守り、どう回復を図るのか。抜本的な対策が求められています。