中国、欧米諸国以外とも貿易戦争勃発の恐れ-ローテク分野で輸出急増
(ブルームバーグ): 中国の輸出ブームは、欧米諸国が標的にしているハイテク産業以外にも幅広く及んでおり、中国政府はこれまで貿易戦争を傍観してきた国から反発を受けるリスクがある。
欧州連合(EU)は今週、中国製の電気自動車(EV)に対し関税を導入する構えで、各国・地域との貿易障壁の上昇を示す新たな事例となりそうだ。米国は既に同様の措置に動いており、カナダもそれに続く可能性がある。EV産業を持たない国が大半のため、この特定の懸念を表明している国はほとんどない。
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だが中国の製造業の貿易黒字が記録的な水準に近いことは、はるかに幅広い分野の輸出急増を示唆している。環境分野のモノだけでなく、鉄鋼や飼料など、不動産不況に伴い景気が低迷している国内で販売がますます困難になっているさまざまな製品が含まれる。
輸出増加は価格下落を伴うケースが多い。この構図が続けば、欧米諸国以外からも反発を招く恐れがある。
マレーシアの副国際貿易・産業相を務めたオン・キアンミン氏は、中国の貿易相手国は住宅関連分野の過剰生産能力が「海外市場でこれら原料の一部のダンピング(不当廉売)につながる」と懸念していると指摘した。
既に反発の動きが始まっている。昨年には中国製品に対する反補助金・反ダンピング措置の件数が記録的な水準に達した。反補助金措置の大半は主要7カ国(G7)で実施されたが、世界貿易機関(WTO)によれば、反ダンピングの取り組みはインドや韓国などさまざまな国で行われ、対象となる製造品も鉄鋼製品やホイールローダー、風力発電機など多岐にわたった。
原題:China Risks Trade War on Two Fronts as Low-Tech Exports Soar Too(抜粋)
--取材協力:Philip Heijmans、Dan Murtaugh、Sarah Chen.
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