<掛布が語る>阪神と巨人 ゲーム差2.5の間にあるもの
16日の横浜DeNA戦の阪神先発は秋山で、17日はルーキーの岩貞が予定されている。先発5番手、6番手の谷間である。その顔ぶれを見ると、絶対に負けられない能見先発のカード緒戦を落とさなかったことに大きな意義はあるが、もし若い投手に託す後の2試合が1勝1敗で終わってしまえば、この巨人、横浜DeNAの6連戦は3勝3敗である。ここで貯金を増やせないで足踏みをしているとカタチを作りつつある巨人とのゲーム差が広がっていく。何が何でも3連勝をしておきたい。 おそらくだが、26日からの巨人―阪神3連戦では菅野が復帰してくるだろう。今週の巨人との首位攻防戦では、阪神がメッセ、岩田、藤浪の表の3枚をぶつけたが、今度は、巨人が逆に表の3枚をぶつけてくるかもしれない。阪神が、巨人に3連勝でもして、今首位に立つことで得るプラスの効果は、そうはないと考えているが、残り20試合で逆転Vを可能にするための準備、つまりチームのカタチだけは、しっかりと整えておかねばならない。 私は、シーズンが130試合の時代にダイエーの監督だった王貞治さんと、監督論を交わしたことがある。王さんは、「掛布君、50勝50敗ができるかできなかは選手の力。すなわち戦力の問題だが、残り30試合はベンチの采配で決まる。監督で勝てる試合なんて少ないかもしれないが、ベンチワークで左右される30試合が大事で、そこが数字的に勝ち越しを作っていくことになる」という話をされていた。 阪神にしても巨人にしてもすでにベンチワークで落とした試合も、拾った試合も数試合は存在していると思う。だが、本当のベンチワークが、勝敗に直結していく試合は、ここから先にあるのだろう。混セの中、どのチームのベンチワークが安定していて怖いのか。巨人が、やっとカタチを見せ始めたセのペナントレースの行方は、スタッフとの連携や試合の展開を読む洞察力を含めたベンチワークに左右されることは間違いない。 (文責・掛布雅之/阪神DC、評論家/構成・本郷陽一)