ロッテ・佐々木朗希にメジャー挑戦GOサイン 球団がポスティング容認…本人の夢を後押しする決断
ロッテは9日、佐々木朗希投手(23)のポスティングシステムによる米大リーグ移籍へ向けた手続きを開始すると発表した。現行の大リーグの労使協定では、25歳未満のドラフト対象外の外国人選手とはマイナー契約しか結べない「25歳ルール」があり、契約金、年俸も低く抑えられるが、本人の夢を後押しする決断を下した。最速165キロ右腕への関心は米国内でも高く、争奪戦が予想され、米メディアでは獲得の有力候補にドジャースを挙げている。 【写真】小さなファンの視線を浴びながら…しゃがんで子供にサインするロッテ・佐々木朗希 世界が注目する『令和の怪物』が海を渡る。午後3時、ロッテが佐々木のポスティングシステムによる米大リーグ移籍を容認すると発表。佐々木は球団を通じてコメントを発表した。 「入団してからこれまで継続的に将来的なMLB挑戦について耳を傾けていただき、正式にポスティングを許可していただいた球団には感謝しかありません。一度しかない野球人生で後悔のないように、マイナー契約からはい上がって世界一の選手になれるよう頑張ります」 佐々木は岩手・大船渡高から2020年にドラフト1位で入団。22年4月10日のオリックス戦では史上最年少で完全試合を達成し、23年のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)では日本代表として優勝に貢献。今季は10勝5敗、防御率2・35で自身初の2桁勝利を挙げていた。 球団では10年オフの西岡剛以来となる同システム容認。この日、ZOZOマリンで取材に応じた松本球団本部長は「入団当初から毎年、話をしてきた。戦力的には痛いが、本人の強い思いを5年間、聞いてきた。今年までの5年間の総合的な判断で容認した」と説明した。 現行の大リーグの労使協定では25歳未満のドラフト対象外の外国人選手とはマイナー契約しか結べず、契約金、年俸も低く抑える「25歳ルール」がある。今季ドジャースに12年総額3億2500万ドル(約465億円=為替レートは入団合意時)で加入した山本由伸の移籍でオリックスが約72億円を手にしたように、高額の譲渡金を得ることはできない。それでも松本球団本部長は「そこ(譲渡金)は意識せずに本人の思いの強さを最終的に判断した。日本代表でもありながらロッテの代表でもある。世界で頑張ってほしい」とした。 手続きの準備に時間を要するため、申請は12月15日の締め切りに近い時期になる見込みだ。交渉期間は45日間。「25歳ルール」では各球団の獲得資金(国際ボーナスプール)を年間500万ドル-750万ドル程度に定めているが、獲得資金は12月15日でリセットされ、来年度は1月15日から契約期間が始まる。佐々木への関心は米国内でも高く、スポーツ専門局ESPN(電子版)では佐々木の契約を最大700万ドル(約11億円)程度と予想。移籍先の有力候補には大谷翔平、山本由伸が所属するドジャースを挙げる米メディアが多い。
佐々木は11月17日のファン感謝デーに参加する予定で、公の場で初めて所信表明するとみられる。『令和の怪物』の争奪戦が幕を開ける。(森祥太郎)