飯塚、太田がパリのトラックへ かつての指導者が静岡からエール「楽しく走って」
4大会連続の五輪に臨む〝レジェンド〟スプリンターと、初の大舞台に挑む気鋭のスピードランナー。静岡県陸上界が誇る2人がパリのトラックを駆ける。男子200メートルの飯塚翔太(33)=ミズノ、藤枝明誠高出=と同1万メートルの太田智樹(26)=トヨタ自動車、浜松日体高出=が4日、日本代表に内定した。ともに高校まで静岡で育った2人。かつての指導者から続々とエールが送られた。 日本男子短距離で4大会連続出場は朝原宣治氏(52)以来史上2人目。藤枝明誠高の清尊徳監督(55)は教え子の快挙に「ピークが20代中盤とされる短距離で、ここまで長く走ってくれるとは」と感無量だ。 飯塚が初出場した2012年ロンドン五輪を現地観戦し、満員のスタジアムに響く大歓声に衝撃を受けた経験がある。東京五輪は審判員を務める傍らレースを見守り「自国開催で走る教え子を目の前で見せてもらった。こんな幸せなことはない」と喜びをかみしめた。ただ、コロナ禍で無観客だったことが心残りだった。12年ぶりに欧州が舞台の今大会。「もう一度、あの大歓声を感じながら走ってほしい」と見守る。 太田が陸上を始めた浜松浜名中で顧問だった鈴木智香子さん(63)=浜松笠井中教諭=は「『ゆっくり行けばいいよ。ずっと応援する』という気持ちだった。走り続けてくれているのがうれしい」と喜んだ。 中学2年で全国入賞、3年で日本一になったが、結果以上にレースの組み立てを楽しんでいたのが印象的だった。5月の日本選手権も1000メートルを2分45秒で刻み、スパートで1人かわして準優勝した姿に「どんなペース設定でも走れるし、最後は必ず上げる。地元の人たちと『そういう走りだったよね』って」と懐かしさを感じたという。今回も浜松から「楽しく走ってきて」と願いを込める。
静岡新聞社