港の安全を見守り続けて60年 博多ポートタワーが"還暦"に/福岡市
船の安全運航をサポート
展望室のさらに上には、一般の人は立ち入れない無線局「博多ポートラジオ」があります。 ――本船は14時09分にアンカー(いかり)打ちました。どうぞ。 ――貴船、14時09分にアンカーした。それでは、抜錨(ばつびょう)の際にご連絡お願いします。どうぞ。 海上無線通信士の真田千加子さんが、船からの無線に応答しました。その隣では同僚の中村浩二さんが双眼鏡を手に船の様子を確認しています。
「港内の動きを船に伝えるのが私たちの仕事です。例えば大型のクルーズ船などが出港する際は、すれ違う船に注意を促します」。リーダーの岡部和美さんが教えてくれました。 博多ポートラジオは1983年に開局。船舶への情報提供を専門に行う東洋信号通信社(横浜市)が運営しています。 無線は関門海峡や壱岐など半径約70キロ・メートルの範囲に届くそうで、岡部さんたちは博多港を目指す船が到着する3時間前から連絡を取り合います。
博多港は、旅客船が接岸する博多ふ頭や中央ふ頭のほか、穀物が集まる須崎ふ頭、自動車を輸出する香椎パークポート、建材やガスを扱う東浜ふ頭など計8地区からなる国際拠点港湾です。 年間約2万5000隻が入港し、船の大きさや積載物などによって荷降ろしの岸壁が決まります。岡部さんたちは、到着時刻などを聞き取ったり、すでに着岸している先船の荷役が終わるタイミングなどを伝えたりして、各船が港内を安全に移動できるようにサポートしています。 「人の命にも関わる仕事なので、重責を感じることが多いです」と岡部さん。「船がうまく着岸するのを見届けられたときはほっとします」
節目を祝うイベントも!
福岡市は、博多ポートタワーのオープン60周年に合わせて、タワーの歴史や役割、博多港の魅力を広く知ってもらおうと、記念イベントを計画しています。 10月12日の17時30分からは、タワーに隣接する駐車場でジャズ演奏が行われます。博多湾に沈む夕日とタワーを眺められる会場で、福岡を拠点に活動するミュージシャン4人のライブを無料で楽しめます。
また、18時頃からは特別ライトアップの点灯カウントダウンがあります。ライトアップ(18~24時)は20日までを予定しています。 このほか10月12~11月18日は、博多パラダイスに関する資料を紹介し、昭和30~40年代から現在まで港の移り変わりを写真で振り返るパネル展示などを行います。
読売新聞