今年の弥生賞出走馬で‟ディープインパクトを上回る”衝撃のパフォーマンスを見せた馬とは
凱旋門賞では厳しい結果に…
古馬と初対決となった有馬記念ではこちらも名馬ハーツクライと名手ルメール騎手の好騎乗に阻まれて2着となりましたが、古馬になり阪神大賞典と天皇賞(春)、宝塚記念と3連勝。そして凱旋門賞に挑みます。結果は3着に入線(後に失格)。夜中まで起きていた筆者も伸びきれないディープインパクトの姿にショックを受けました。 帰国初戦はジャパンカップ。単勝オッズは1.3倍で単勝支持率61.2%は日本国内で走ったレースの中では最も低くなりました。凱旋門賞のレース振りから世間もやや不安視している様子でしたが、レースではその不安を払しょくする、いつものディープインパクトの姿がありました。そして引退レースの有馬記念は武豊騎手が「生涯最高のレースができた」と語る走りでG1 7勝目を記録しました。
最大の強みはトップスピードの持続力にある
ここまでディープインパクトの戦歴を振り返りましたが、筆者が最も衝撃を受けたレースが天皇賞(春)でした。道中はいつものように後方から競馬を進めていましたが、向正面で一気にスピードを上げて3コーナーでは3番手。4コーナーでは早くも先頭に立つ驚愕の競馬で、そのままリンカーンを3馬身半差突き放す圧勝でした。 勝ちタイムの3分13秒4は当時のレコードタイム。そして何よりも衝撃なのが上がり4ハロンのタイムです。競走馬の持続力はレースの上がり4ハロンに表れると筆者は考えており、ディープインパクトが勝利した天皇賞(春)の上がり4ハロンタイム44.8秒は、芝3000m以上のレースにおいて今なお破られていない歴代最速タイムとなります。 ディープインパクトといえば上がり3ハロン33秒台を記録するようにトップスピード性能も非常に優れていますが、それを維持する持続力こそが最大の強みであったと考えています。産駒としてジェンティルドンナやコントレイルなど中~長距離馬を多く輩出していることも、自身の持続力を遺伝させている結果といえるでしょう。最強馬論争で必ず名前が挙がるディープインパクトですが、少なくとも長距離部門では歴代最強馬だと筆者は確信しています。