「女子なのに東大?」 “#言葉の逆風”ポスター企画者の想い「言われる側も“これらは逆風だ”と思っていい」
安東氏は、プロジェクトの反響として「“こういう言葉を真に受けちゃ駄目なんだ”と無意識にスルーしてきたことに、このポスターを見て気づいた」という言葉をもらったという。「言っちゃ駄目だよだけではなくて、言われる側も“こういう言葉を逆風と受け止めていいんだ”という気持ちになってもらえたらうれしい」と訴えた。
■ジェンダーバイアスに岩澤氏「放っておくとベルトコンベアのようにみんな流れていく」
実際に寄せられた声には、「女性に重職は任せられない」「女性ならではの視点で研究を」「女性は研究に向いていない」などもある。 岩澤氏は「東大に行って自己実現ができるイメージがわきにくい。大学でも会社でも役職を得にくかったり、結婚しにくかったり。私自身も会社をやり、いろいろな企業のダイバーシティー研修をしているが、『担当者を変えてほしい』と言われたことがある。要するに、高学歴の年下、しかも女性の講師に耳を傾けにくい人たちがいると。それが現実だ」と語る。 中野氏は「学部生にとって、先生も同級生もみんな男性という環境だと入りたいとならない。学生に光が当たりがちなのだが今回、教授など上位職に女性がなっていかないことも問題視している。研究者として成功する・実績を残すことが出産と両立しにくかったり、ネガティブな言葉をかけられることがある。その逆風を跳ね返せる人しか行きたいと思えない、残れないという構造にはなっていると思う」との見方を示した。
会社の女性役員比率は、2023年で13.4%。政府目標では、「2030年までに女性役員比率を30%以上」「2025年までに女性役員がいない企業ゼロ」としている(東証プライム市場上場企業が対象)。 中野氏は「『女性ならでは~』と言われるのは、その会議で女性がマイノリティだから。このスタジオのバランスはすごく良いが、女性1人だったら“中野さんは女性の役割ね”となってしまう。クリティカルマスといって、女性が3割くらいになるとその中でも多様な意見が出てくるし、女性とまとめられるのではなく個人として見られる。今は過渡期で、ものすごいマイノリティから引き上げるところまで頑張らないといけない」と述べる。 安東氏は「東京大学の中でも意識が変わってきていることは認識している」「昨年度から、無意識のバイアスチェックシートを確認し合ってから人事評価をやろうという取り組みも始めている」としつつ、「ポスターでこういう現象を可視化して、一緒に考えて、じゃあ何ができるか?を考え始めているところ。そこがまず1つ重要だと思っている」とした。