車内温度は簡単に40度超え!ペット車内放置の危険性…「熱中症」犬の死亡率は約5割の現実
急に暖かくなってきた。天候によって寒暖差はあるものの、5月も全国的に気温が高い日が続くと気象庁は予測している。そして、風があって気持ちの良い日も、密閉された室内や車内では暑苦しさを感じる日も増えている。 【画像】過去に死亡事故も、ペットの熱中症を防ぐための傾向と対策 今の季節から夏にかけて、特に気をつけたいのが「熱中症」だ。人はもちろん、犬や猫などのペットも、熱中症になるリスクがある。犬の場合、重症度によって異なるが、体温が41度以上の重度熱中症の死亡率は40~50パーセントと、かなり高いと言われている(※1)。 今回は、そんなこれからの季節に特に気をつけたい熱中症について獣医師で作家の片川優子さんに詳しく解説していただく。
そもそも「熱中症」とはどんな症状?
ペットの熱中症の前に、人での熱中症の分類を見てみよう。 ---------- l 度軽度:めまい、たちくらみ、筋肉の硬直・こむら返り ll 度中等度:頭痛、嘔吐、倦怠感 lll 度重度:中枢神経症状、肝障害、腎障害、凝固異常 ---------- 人の熱中症は、上記の3段階に分類されており、Ⅱ度以上では速やかに医療機関を受診し、体温管理や水分・ナトリウムの補給が必要とされている。 ではペットの場合はどうだろうか。自分のペットのことを想像しながら、今一度、人の熱中症分類をみてみて欲しい。Ⅰ度の異変を、気付けるだろうか? ペットは「なんか調子が悪い」と自己申告してくれないので、気づくのはかなり難しいことは想像に難くない。 では、Ⅱ度はどうだろう? 「暑い車内に放置してしまった」等あれば、嘔吐をしていたり、ぐったりしていたらすぐに病院に受診するだろう。しかし、例えば「家でお留守番しているときに吐いていた」ならどうだろう? 病院を受診する人としない人に分かれ、なおかつどれだけ熱中症を疑えるだろうか。 もしそれが猫だったらどうだろうか? 「猫は定期的に吐くもの」と気にもしない方が多いかもしれない。そうなると熱中症の発見は遅れてしまう。 このように、自分の体調を話せないペットの熱中症は、時としてかなり重症化しないと気づけないケースが多いことをまず念頭に入れてほしい。 我々獣医師には、「熱中症は亡くなる可能性の高い緊急疾患である」という認識がある。それは、かなり重度の熱中症になって初めて病院に受診するペットが多いからだろう。犬において、重度熱中症が約半数死亡することをかんがみても、いかに予防が大切か、おわかりいただけるはずだ。