「過度な筋トレ=寿命が縮まる」は本当? 科学的な目安は?筋トレのデメリットと対策を専門家が解説
有酸素運動を取り入れるとデメリット対策になる
ーー長時間の筋トレによって寿命が縮むリスクを軽減するには、時間を短くする以外に対策できないでしょうか? 筋トレと一緒に有酸素運動をする方法もあります。実際に我々の研究でも、筋トレと有酸素運動をそれぞれ単独で行うよりも、組み合わせた方が寿命が縮むリスクを軽減できるという結果が確認されました。 ーー有酸素運動を取り入れる場合、筋トレと同じぐらいの頻度で取り入れたほうが良いのでしょうか。 具体的な割合は決まっていませんが、健康目的で運動するなら有酸素運動をメインにすることが大切です。過去のさまざまな研究で、ウォーキングをしたり軽く走ったりすると寿命が縮むリスクを軽減できることが分かっており、研究成果としては筋トレの結果よりも充実しています。 また、厚生労働省が出している「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」では、少しでも身体を動かす、つまり有酸素性の身体活動を行うことがメインメッセージとして推奨されています(1日60分以上、約8000歩以上)。 病気の発症や死亡率を軽減したい方は、有酸素運動をベースに週2~3日の頻度で筋トレを取り入れるのが良いでしょう。
健康的な筋トレには継続と理解が大切
ーー専門家から見て、健康的な筋トレを行ううえで大切なことは何ですか? 健康のためを考えるのであれば、継続的に行うことがとても大切なので、ジムや器具も必要ない簡単なトレーニングを取り入れるのが良いと思います。 また、筋トレの基礎を理解してほしいですね。筋トレの基礎とは、特定の筋肉に日常生活以上の負荷をしっかりとかけて、負荷をかけたらちゃんと休ませる。そして、これを繰り返し行うことです。 普段の生活と同じ負荷をかけるだけでは、筋肉に刺激を与えられないため、トレーニングの効果が十分に発揮されません。 さらに筋トレを繰り返し行っていれば、筋肉は負荷に慣れてきます。今まで与えていた負荷が“いつもの”負荷になっていくため、負荷を段階的に増やしていくことがとても重要です。 負荷をかけるポイントは、自分が限界と感じるまで続けることです。たとえば、腹筋を10回行ってきついと感じたら、しっかりと負荷をかけられています。限界まで筋トレを繰り返すとだんだん筋肉がついてくるので、10回から20回、30回と回数を増していきましょう。 筋トレの効果を出す方法はとてもシンプルです。難しく考えず、まずはできるところまでやってみてください。 ◇ 何事もやりすぎは良くないのかもしれないが、門間准教授によると、「いまのところ、筋トレのデメリットよりもメリットのほうが遥かに大きいので、やらないよりやった方が良い」とのこと。日頃の運動習慣はぜひつけておこう! アントレース、なつこ=取材・文
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