トラックとしての実用性は確実に悪化! それでもトラック野郎がデコトラにハマるワケ
デコトラはベース車両もパーツも高い!
クルマが趣味だという人は、世のなかにゴマンといるに違いない。スーパーカーや旧車などノーマルの美学を貫く人や、市販されているクルマをベースにカスタムを施す人など、クルマとの接し方は十人十色。そのすべての人たちに共通するものといえば、お金がかかるということだけかもしれない。 【写真】「舟形」「キャデラック」「ラッセル」ってなんだ? デコトラ特有のバンパーを一挙紹介 クルマをこよなく愛する人たちは、その趣味をセカンドカーで楽しむ傾向にある。日常の足として使うのではなく、あくまでも趣味のクルマだと割り切っているのだ。スーパーカーでは燃費が悪いし、旧車であれば雨の日は乗りたくないなど、そのジャンルごとに「セカンドカーにしたい」というそれぞれの理由が存在するのである。 日本発祥の文化として知られるデコトラは、ベースが乗用車ではなくトラックであるため、仕事車を飾るのだから維持費は会社もちだと考えている人がいるのは、不思議なことではない。しかし、近年では小型や中型トラックを自家用で所有するという人が増えている。仕事車が飾れないから、自家用として飾る。そう考える強者が、意外と多い世界なのだ。 もともと、費用がかかることで知られるデコトラの世界。パーツはステンレスや鉄などで製作するのが一般的なのだが、その素材の値段がまず高い。そして、専門的な技術をもった職人しか精巧なるパーツを製作できないため、自ずと高価なものとなってしまうのだ。
デコトラの存在感は見る者を虜にする
フロントバンパーを例に挙げると、鉄で製作したものにメッキをかけるという本格的なものであれば、製作費200万円オーバーも珍しいものではない。そのほとんどが技術料だといっても過言ではないのだが、それほどまでにお金がかかってしまうのだ。実際に、数千万円を注ぎ込んだというデコトラも存在するのである。 鉄やステンレスで製作した飾りを取り付けると、当然のことながらそのぶんだけ車重が嵩む。フロントバンパーともなればひとりでもち上げることもできないため、フレームにはそれを取り付けるための屈強なステーも必要となってくる。このステーもステンレスや鉄などで製作するために、また重さがプラスされるのだ。そういった大きなパーツは空気抵抗も受けやすいため、燃費が悪くなるのは当然の話。外装に大きなパーツを取り付けることが多いデコトラは、洗車やメンテナンス性にも支障が出るほど大変な世界なのである。 それなのに、なぜ愛好家たちはデコトラにのめり込んでしまうのか。その理由は数多く存在するとは思うが、一度見たら忘れられないほどのインパクトや存在感が、とくに影響しているのではないかと考えられる。派手な飾りや絵で目立つ昼の姿に刺激された人、また艶やかな電飾を灯した夜の姿に魅せられた人……。 そんな見せ場をもつデコトラは、見る者を虜にする力を秘めている。そして、その魅力の源泉は、デコトラが日本で生まれた特有の文化ということにあるのかもしれない。 日本で生まれ、日本で発展してきたデコトラ文化は、日本人の好みに合った内容であるということは、考えるまでもない。そんなデコトラに魅力を難じることは不思議なものではなく、むしろ正常な日本人の証であるとさえいえる。和食が合わない日本人のほうが珍しいのと同じように、デコトラが合わない日本人のほうが少数派なのだろう。だからこそ胸を張り、これからもデコトラの素晴らしさを世界に発信し続けていただきたいと思う。
トラック魂編集部