『ゴジラ-1.0』だけでは支えきれない秋興行 邦画は『翔んで埼玉』頼り? 洋画は?
11月第3週の動員ランキングは、『ゴジラ-1.0』が週末3日間で動員26万7600人、興収4億2100万円を記録して3週連続で1位となった。公開から17日間の累計動員は184万人&興収28億5100万円。前週との興収比は75%と好推移をキープしているものの、『シン・ゴジラ』の興行のような3週目以降の驚異的な粘りは見られず、興収50億円あたりが現実的な目標となりそうだ。 【写真】紫色の髪になった主演のGACKTと新キャストの杏 初登場で2位につけた『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』のオープニング3日間の動員は11万1500人、興収は1億6000万円と、1位の『ゴジラ-1.0』とは大きく差が開いている。先週2位に初登場した公開2週目の『マーベルズ』は、公開3週目の『映画 すみっコぐらし ツギハギ工場のふしぎなコ』よりも下回る成績に。 このタイミングで2023年秋の映画興行を総括するなら、9月公開の『ミステリと言う勿れ』と11月公開の『ゴジラ-1.0』、東宝配給の実写2作品以外はほとんど頼りにならず、その2本も映画興行全体を支えられるほどの特大ヒットには至らず、といったところ。このなかなか渋い状況に変化をもたらしてくれる作品の公開が待たれる。 今週公開される作品として期待が集まるのは、『翔んで埼玉 ~琵琶湖より愛をこめて~』だ。4年前、閑散期の2月に公開された前作『翔んで埼玉』は、結果的には最終興収37.6億円のサプライズヒットに。その時は埼玉県のシネコンが連日満員になるなど局地的な盛り上がりも話題となったが、今回は作品の舞台が関西エリアまで広がっているので、それがそのまま興行の広がりにも寄与すれば、前作以上の結果もあり得るかもしれない。 9月に公開された『ジョン・ウィック:コンセクエンス』を最後に興収10億円以上のヒットが1作も出てない外国映画は、12月8日公開の『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』まで大ヒットのポテンシャルを秘めた作品の公開が見当らない。正直なところ、それ以降のクリスマス&正月興行も今年は盛り上がりに欠けそうな気配が濃厚なのだが、それについては追ってまた。
宇野維正