<映画評>思いがけず涙も 3Dムービーの傑作『アメイジング・スパイダーマン2』
3Dムービーと傑作と言える作品。マンハッタンの高層ビル群を縫うように飛び回るスパイダーマン。映像、音響技術は前作に比べても迫力は倍増している。このシリーズ、3Dで表現するのに、もっとも相応しい作品の1つと言えるだろう。さらに今回は、最強の敵の一人、『エレクトロ』の登場に合わせたエレクトロミュージックと音響、そして破壊されるマンハッタン、サウンドと映像がマッチして、絶妙な相乗効果を生み出している。
作品としての技術力もさることながら、ストーリー性において、本作品はこれまでと違う味を出している。相変わらずのライトなノリで登場するスパイダーマンだが、今回はピーター・パーカーの人間性に深く迫っている。恋愛や将来、そして少しずつ明かされていく過去。ヒーローでありながら、一人の人間として思い悩む姿は、思春期の青年そのもの。思いがけず切なさが伝わってくる。 「大いなる力には、大いなる責任が伴う(With great power comes great responsibility)」。 これは、前シリーズから引き継ぐ『スパイダーマン』のコンセプトとも言えるパーカーの叔父、ベンおじさんの言葉だ。今回、このセリフ自体が発せられることはなかったものの、その根本を表すようなストーリー展開。スパイダーマンであるがゆえの苦悩、それを乗り越え強くなっていく姿は、観るものにきっと感動を与えてくれるだろう。試写会の場には、“映画慣れ”した人が多いにも関わらず、3Dメガネをずらして、涙を拭く人も少なくなかったのは、その証拠とも言える。 さまざまな展開を見せる本シリーズ。もちろんスパイダーマンらしい爽快感は健在。一方で、衝撃の連続が待ち受けていたりもしている。映画を見終わったあとは、どっと疲れを感じる。それだけ、没頭してしまったということだろう。 ■公開情報 映画『アメイジング・スパイダーマン2』 公式サイト 公開:4月25日 監督:マーク・ウェブ 出演:アンドリュー・ガーフィールド、エマ・ストーン、ジェイミー・フォックス、デイン・デハーン、ポール・ジアマッティ、サリー・フィールド コピーライト:(C)2013 CTMG. All Rights Reserved. 配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント