先人に夏山の安全祈る 南アルプス玄関口の北沢峠で開山祭
南アルプス北部の登山道整備や遭難者救助に尽力した竹沢長衛(ちょうえい)(1889~1958年)をしのぶ「長衛祭」が15日、長野県伊那市・山梨県南アルプス市境の北沢峠(2032メートル)で開かれた。両市や伊那山の会などでつくる実行委員会が開山祭として主催し66回目。山岳関係者や登山者ら約150人が参加し、夏山の安全を祈った。
実行委員長で長野県山岳協会顧問の唐木真澄さん(80)=伊那市=は、伊那市営南ア林道バスの運行やテント泊の多さに触れ、「北沢峠も人気のルートになっている。長衛翁が目指した誰でも気軽に山に登れる証しではないか」とあいさつ。参加者は顕彰碑に花を手向け、黙とうした。
式典には伊那市長谷小学校6年生8人も出席し、碑を前に「讃歌(さんか)―長谷」を歌った。プロ奏者ら4人でつくる弦楽四重奏「南アルプスカルテット」が5年ぶりに参加し、ハイドン「ひばり」などを披露。参加者は北沢峠に響く音色に聞き入った。