『ロミオ+ジュリエット』まもなく開幕 ホリプログループ会長 堀義貴×バレエダンサー・俳優 宮尾俊太郎がマシュー・ボーン作品の魅力に迫る!
命を削って踊るダンサーの輝き
宮尾 マシュー・ボーンの振付は、結構あるようでない振付だなと思って。これ本当にマシューさんが作っているのですか?助手が8割作ってとかじゃなくて。 ――『ロミオ+ジュリエット』の場合は若い女性の振付家のアシスタントが助手についているのですが、でもマシューさんが基本的に作っています。 宮尾 マシューさんの振付は、踊る人が輝くためには絶対これ必要なんだよねっていうものが入っています。それはもう肉体的に限界を迎える振付であるということなんですよね。 『眠れる森の美女』を見ていても、絶対きついんですよ。肉体的にきついことをやっているとやっぱりダンサーって命が削れていくから、輝くんです。 ――『ロミオ+ジュリエット』はまさにそういう作品ですよね。 振付的にもチャレンジングなところがあって、すごく長いキスシーンもありますね。バルコニーのところで、唇がくっついたままずっと離れないんです。これはすごく大変なシーンですが、「ダンスの歴史上もっとも長いキスシーンを創ろうとした」とマシューさんが仰ってました。 宮尾 ダンサーは絶対大変ですよね。ぼくも『ロミオとジュリエット』を踊った時にキスシーンがありましたけど、もう当然息が切れている中で、美しく見せなきゃいけないので。 堀 実際、そういうものを3ヶ月も4ヶ月もロングランでやっているんですよ。Kバレエもそうですが、もうリスペクトします。 バレエやダンスを見たことない人は、優雅に踊っている、くらいのイメージだと思うんですよ。実際にはバレエダンサーの筋肉は凄まじいじゃないですか。 トップレベルのアスリートと同じですよね。 堀 あれだけ跳んで着地するだけでもね、フィギュアスケートの着氷も何トンもかかっているって言うけど、バレエも多分トン級かかっていると思いますよ。 宮尾 人を持って跳んで着地した後、ボクシングを12ラウンドぐらいやって、さらにその後に綱渡りしているみたいな感じです(笑) 堀 それはやっぱり一度見ると男でもすごいなと思えるんです。あんな体勢で踊り続けるってのは、子供のときから体幹とかを鍛えていないと絶対無理ですよね。 宮尾 体の作りは、作品にも反映されて変わっていきます。マシュー作品は衣裳も現代風のちょっと洋服っぽいものが多いじゃないですか。すごく自然に存在している人間が、動きだしたらものすごいダンサー!という調和は面白いなと思います。見ているお客様が入り込みやすい。