ドコモ「dポイント」アマゾンと提携強化で何が変わる?
ドコモとアマゾンジャパンが4月10日に発表した提携強化。これは何を意味するのか。ユーザーにはどんな利益があるのか。ケータイジャーナリストの石野純也さんが解説する。【毎日新聞経済プレミア】 ドコモがアマゾンジャパンとの提携を強化し、「dポイント」の利用やポイント還元で新たな仕組みを導入した。 アマゾンでの買い物額に応じてdポイントがたまるというものだが、利用者はドコモとアマゾン、双方のアカウントを連携させておくだけでよい。ドコモの回線を契約していない人も、dアカウント(無料)を取得すれば利用できる。 ◇5000円以上の買い物が条件 これまでもアマゾンでは、ドコモの回線契約者が「d払い」を利用した場合など、dポイントの還元を受けられる方法はあった。 だが今後はアカウント連携さえしていれば、一般のクレジットカードなどの決済でもdポイントがつく。回線契約の有無も支払い手段も関係なく、アマゾンで買い物をすればdポイントがもらえるようになったということだ。 還元率は1%で、1回5000円以上の買い物が条件となる。ただし1回100ポイントまでの付与となるため、1万円の買い物で上限に達してしまう。 一方、買い物の回数には制限がなく、アマゾンを頻繁に利用する人ほどポイントをためることが可能だ。 ◇d払いの還元率もアップ これに加え、ドコモの回線契約者がアマゾンでd払い決済をすると、0.5%のポイント還元も受けられる。 さらに料金プランが「eximo(エクシモ)」「ahamo(アハモ)」「ギガホ」の人は、ドコモを通じてアマゾンプライム(会員制サービス)に登録していると、d払い時の還元率が1%アップする(月100ポイントまで)。 また、60歳以上のドコモユーザーは料金プランに関係なく、アマゾンプライムに登録(ドコモ経由)しているだけで、d払い時の還元率がさらに1%上乗せされる(月100ポイントまで)。 ここまでですべての条件を満たせば、還元率は合計3.5%だ。 ◇EC分野に弱点 ドコモの狙いは、dポイントを通じた経済圏の拡大にある。 楽天モバイルはグループ内に楽天市場がある。ソフトバンクも傘下のLINEヤフーがヤフーショッピングを運営する。ドコモにもdショッピングなどがあるが、規模や知名度で差があり、EC(電子商取引)分野は手薄なままだった。 特にポイントを軸に回線契約者をECサイトで優遇したり、ECサイトでのポイント還元を手厚くし、回線契約につなげたりといった動きが、他社より弱かったといえる。 dポイントの経済圏はコンビニや百貨店など、街の店舗には広がっているが、ネットでの存在感に課題があったということだ。アマゾンと手を組むことで、この弱点を補える。 アマゾン側にも、携帯電話事業者の最大手と組むことで、楽天市場やヤフーショッピングなどに対抗する狙いが見てとれる。 ◇提携の弱みと強み ただし、楽天市場やヤフーショッピングと比べると、やや還元率は低い。 楽天モバイルの契約者は、楽天市場で買い物をすると、ポイント還元率(楽天ポイント)が4%アップする。 ソフトバンクとワイモバイルの利用者も、ヤフーショッピングでの還元率(PayPayポイント)が2%アップする「LYPプレミアム会員」に無料でなれる。「PayPay残高払い」を利用した際の還元率も、ヤフーショッピングでの買い物なら3.5%上乗せとなる。 この点は「提携」にとどまるドコモとアマゾンの弱みだ。ただし、ドコモはフリマアプリのメルカリや、飲食店などの予約サイト「ホットペッパーグルメ」(リクルート)などとも提携しており、dポイントをためたり使ったりできる。 自社でサービスを抱え込まないのは強みにもなり得る。このまま幅広い事業者と組んでいければ、勝算はありそうだ。