「天才的な演技だった」 死去の西田敏行さん県内でもロケ、本木監督(富山出身)ら悼む
17日に死去したことが分かった俳優の西田敏行さんは、映画の撮影などで富山県内をたびたび訪れた。関係者が気さくで温かな人柄をしのんだ。 富山市出身の本木克英監督(60)は「釣りバカ日誌」シリーズの3作品などで一緒に仕事をした。役を深く掘り下げて解釈して撮影に臨む姿が目に焼き付いている。「天才的な演技だった」と言う。 富山でロケが行われた「釣りバカ日誌13 ハマちゃん危機一髪!」(2002年)では「気の毒な」など、富山弁のせりふを熱心に研究。にぎやかな雰囲気が好きで、撮影期間中には本木監督やスタッフを連れだして、富山のおいしい物を食べに出かけたことも印象深いという。「駆け出しの頃から演出に助言をしてくれるなどお世話になった。あまりに急なことで現実味がない、残念で仕方ない」と話した。 黒部市宇奈月温泉のホテル黒部は、西田さんら俳優陣が宿泊し、撮影場所の一つにもなった。おかみの中島ルミ子さん(54)は館内での撮影を見せてもらった際のことを今も覚えている。「本番直前、西田さんは部屋の中でいすに座り、1点を見つめて集中力を高めていた。空気が違い、すごい緊張感でプロの在り方を学んだ」と振り返る。
西田さんは新湊曳山(ひきやま)まつりを題材にした映画「人生の約束」(16年)にも出演し、曳山を伝承する「四十物(あいもの)町」の町内会長を演じた。映画のストーリーでは、四十物町は曳山を維持する費用が底を突き、曳山を他町に引き渡す。ロケをサポートした放生津八幡宮曳山・築山(つきやま)保存会専務理事の宮島伊佐夫さん(71)は、曳山への強い愛着をにじませる西田さんの演技が胸に残っているとし「良い映画を作ってくれて感謝しかない」と語った。