もっと磨いてストレートで勝負したい

　プロでは夏の甲子園の決勝で敗れた大阪桐蔭の藤原、根尾のコンビとの対決の機会も出てくるだろう。特に藤原とは同じパ・リーグである。 「甲子園では、納得する抑え方ができなかったので、ひとまわり成長して抑えたいです」 　もちろん、勝負球はストレート。 「しっかりと投げ込みたい」という。 「まだまだストレートが完成していません。納得できるくらいのストレートを身につけて変化球が生きるストレートを投げたいんです。自分的には、常時、150キロを越えて、球の質を意識して投げれるストレートを投げたい。自分の持ち味はストレート。もっと磨いてストレートで勝負したいんです」 　ストレートへのこだわりを熱く語った吉田は、最速目標を155キロに置いた。 　「好きな球団だ」とラブコールを送っていた巨人には、ふられた形になったが、いつか交流戦や日本シリーズで対戦する機会があるのかもしれない。 　その舞台がくれば「全力を出したい」という。 　今は、自信と不安が「50パーセントずつくらい」交錯している。　 「自信は、甲子園でしっかりと勝てたこと。（一方）寮生活、私生活で、初めてのことが多いので、そこを気をつけられればいいなという不安があります」 　まずは千葉の鎌ヶ谷での合宿所生活が始まる。 「高校野球とプロでは、日にちの感覚が違います。どう調整して、いかに調子の上下をなくすか」 　プロとアマの違いがどこにあるかもちゃんと把握している。 「まだ（合宿所入りまで）期間があるので、しっかりと成長した姿でプロに入りたい」 　さっそく明日から吉田のプロへの第一歩が始まるのである。 　その上で目標をこう語るのだ。 「球界を代表するピッチャーになって、もう一度世界で日の丸を背負って戦えるピッチャーになりたい。まずは納得する投手になれるように頑張って新人王を獲りたいと思っています。高校時代と変わらず強気のピッチングをしっかりとして自分を全面的にアピールできるように頑張りたいです」 　新人王、そして侍ジャパンのエースへ。 　吉田が掲げる夢は大きい。 　会見では、地元局から秋田に関する質問が多く投げかけられた。吉田の答えからは秋田への郷土愛が痛いほど伝わってきた。 「（甲子園では）自分たちの力だけで勝てたのではなく応援してくださった秋田の方々のおかげで勝てました。プロに入るにあたって、たくさんの人に支えられてきました。その人たちにプレーで恩返ししたい。ニュースなどで活躍している姿を見てもらうことで、応援してもらった方々へ、勇気や感動を与えられるように、精一杯のプレーをやっていきたい」 　旅立ちの日までのカウントダウン。 「今まで応援していただいた皆さん、チームメイト、秋田に残るクラスメートと離れるのがちょっと辛いです」 　夏の甲子園を沸かせた心優しきヒーローは、故郷への思いを胸に抱きプロの世界で羽ばたいていく。