金曜ドラマ『9ボーダー』は“王道感”たっぷりの第1話からどう変化していくか
川口春奈、木南晴夏、松下洸平、木戸大聖ら人気も実力も兼ね備えている俳優陣が出演、『アンナチュラル』や『MIU404』を手掛けた新井順子氏がプロデューサーともあり、今クールの中でもかなりの期待値が寄せられていた金曜ドラマ『9ボーダー』。その幕開けは少々意外なものとなった。 【関連写真】今作で初共演、川口春奈・木南晴夏・畑芽育の3ショット【2点】 モデルプレスが毎クールで行っている読者アンケートでも、「2024年春クール楽しみなドラマ」ランキングで3位に入っていた『9ボーダー』。4月19日に放送された第1話は、王道をまっすぐ行くようなものだった。 物語の中心にいるのは19歳、29歳、39歳と、次の年代へ進む前のラストイヤー=“9ボーダー”真っ只中の3姉妹。彼女たちの人生における大きな一歩にフォーカスしていくことが期待されるが、こと1話に関しては川口春奈演じる主人公・大庭七苗の恋愛にスポットライトが当たった。 仕事に邁進するあまり、彼氏は数年おらず、デートもご無沙汰。そんなところで、ストリートミュージシャン・コウタロウ(松下洸平)と出会う。記憶を失っているコウタロウに対し、七苗はすぐに惹かれていく様子を見せる。 ドラマ内での描写もその“王道感”に拍車をかけた。初対面でコウタロウが七苗の手をおもむろにつかんだシーンでは、様々なカットで見せ、音楽を劇的な形で流した。さらに、恋愛について悩む七苗にコウタロウは「じゃあ、俺のこと好きになっていいよ。俺もきっと、君を好きになる。そんな気がする」と告げた。その後にもコウタロウが七苗の手の小指をとってから1本ずつ指を絡め合わせるように手を繋いだ。
「キュン製造マシーン」と化したコウタロウ
こうして簡単にシーンを振り返ってみても、本作にはベタが詰め込まれているように感じる。SNSでは松下演じるコウタロウの“沼”っぷりに歓喜する声で溢れた一方、「思っていたのと違う」や「目新しさに乏しい」という意見も散見された。 実際、ドラマをフラットに見ていてもこれからどうなっていくんだという期待感は薄い。だが、それ以上に感じたのは男性俳優陣の“暴力的”な魅力だ。松下の演じる男子は視聴者を魅了するという能力が非常に高いというのは、『最愛』や『いちばん好きな花』ですでに証明済みだが、今作は一気に“沼”方面へ振り切ったことで「キュン製造マシーン」と化している。 七苗と幼なじみの高木陽太を演じる木戸大聖も、これまでの作品で見せてきた男性的なかわいさはそのままに、大庭八海(畑芽育)の前で見せる兄のような魅力で、我々を魅了してくれている。井之脇海演じる新人公認会計士・松嶋朔についてはまだ登場シーンが少なかったものの、成澤六月(木南晴夏)との掛け合いには今後も注目したいところだ。 もちろん、まだ第1話が終了しただけに過ぎず、男性陣の魅力を見せるだけのドラマにはならないはず。プロデューサーの新井氏が得意とするヒューマンドラマとしての側面も期待しつつ、本作品を楽しみたいところだ。
まっつ