センバツ2019 戦力分析/上 継投軸に守り勝つ リード、采配も鍵に /福井
<第91回選抜高校野球> 新潟市で昨年10月22日にあった秋の北信越地区大会決勝、相手は甲子園常連校で知られる星稜(石川)だった。先発マウンドに立った安積航大投手(2年)はその初球、いきなり中越え三塁打を浴びた。後続を断って事なきを得たが、心奥にはその痛打が深く刻まれた。 「初球だろうが甘い球は見逃さない。これが全国レベルか」。気を引き締め直した安積投手は、持ち前の制球力を生かしてコーナーを丹念に突いた。浦松巧投手(同)への継投で十五回を2失点に抑え、強豪との引き分け再試合に持ち込んだ。 安積投手が試合をつくり、浦松投手にリレーする。右上手から変化球を織り交ぜて打ち取る安積投手に、浦松投手は右横手から浮き上がるような直球を武器とする。タイプが異なる両投手による継投は定着し、植松照智監督は昨秋の公式戦10試合のうち、実に8試合でこの策を取った。 センバツでもこの継投が軸となるが、27日の初戦でまみえる桐蔭学園(神奈川)は、パンチ力のある中軸から小技が光る下位まで、「全国レベル」の打者がそろう。主将の森敬斗選手(2年)は、昨秋の関東地区大会で3本塁打12打点。鋭いスイングのみならず、逆転サヨナラ弾を放った勝負強さも持ち合わせる。 強打の桐蔭学園にどう挑むか。安積、浦松両投手に加えて、成長著しいのが倉橋瞳人投手(1年)だ。今月9日に徳島県であった練習試合では高知県内で力を付けた高知中央を相手に、5回を投げて被安打2、無失点の好投を見せた。「直球で押していけたし、変化球も浮かずに投げられた」と手応えを語る。 リード、采配面も重要になる。タイプの違う投手陣を穴水芳喜捕手(2年)がどう導くのか。継投のタイミングを判断する植松監督のベンチワークも見どころとなりそうだ。 守備陣の仕上がりも鍵を握る。秋の公式戦は、1試合平均0・8失策と及第点の成績だった。幸鉢悠樹二塁手と山澤太陽遊撃手の1年生コンビを中心とした内野陣は冬の間、基礎的な捕球練習を繰り返してきた。初の甲子園で身上の「守り勝つ野球」が体現できるか注目される。 ◇ ◇ 兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で23日開幕する第91回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催)で、初出場する啓新は27日の初戦で関東王者の桐蔭学園に挑む。投打の中心選手や試合の見どころを紹介する。