【虎になれ】珍しい並びの9人野球 発奮してほしいのはあの2人…
<DeNA0-1阪神>◇12日◇横浜 指揮官・岡田彰布でなくとも「才木浩人さまさま」と言うしかない試合だ。 【写真】発奮してほしいあの人… 今季は連敗ストッパーにもなっているが、この好投は大きい。前日は7点差を逆転されての敗戦。あの22年、開幕ヤクルト戦以来の悪夢だ。連敗すればイヤなムードになるところだった。 そこを才木の力投で勝った。これでこのカード、2勝1敗と勝ち越し。これで前日の衝撃的敗戦が“ただの1敗”となったとも言える。順位を気にする段階ではないと思うが、貯金を減らさない、ためていくことは終盤に効いてくるのだ。 才木の好投同様に驚いたのはこの試合、スタメンが代わらない“9人野球”だったことである。完封を目指す才木の流れを変えないためか。機会がなかったからか。今どき、高校野球でもめったにお目にかかれない9人野球となった。 これは優勝へ向けて突進していた昨年9月12日の巨人戦(甲子園)で西勇輝が完封し、1ー0で勝ったとき以来のこと。指揮官・岡田彰布の2シーズンで2度目の9人野球だ。 だが、そのときと違って、この試合は苦肉の策だったとは思う。大山悠輔を中心に佐藤輝明、森下翔太と主軸を期待する打者の状態がなかなか上がってこない。さほど俊足でもない井上広大の1番起用など、昨季の岡田野球なら考えられないことでは、と思う。 それを敢行。その井上が機能して勝ってしまうのだから、やはり、岡田おそるべしと言うべきなのだろうが、やはり佐藤輝、そして森下が最後まで出ないのは寂しい気もする。 もちろん、これも打線のバリエーション。本来はメンバー、特に主軸はどっしり固めて戦うのが岡田野球と思うのだが、期待の面々がなかなか機能しない状況でこうなっている。 「1番に1発ありそうなのを、例えば森下とか、そういう感覚でな。そんな去年と同じ形じゃできへんで言うて。ずっと話はしとったんや、ミーティングで」。岡田もこの日の起用についてそう振り返った。 もちろん若い井上がこれでチャンスをつかんで、このままレギュラーに定着すれば、それでもいい。だがそう簡単にはいかないと思うし、なんだかんだ言って実績ある佐藤輝の復活抜きでは目標のリーグ連覇は厳しい、とは思う。井上のスタメン起用で佐藤輝、森下が「オレもやるぞ!」と発奮し、がむしゃらになってくれればいいのだが…。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)