芸歴20年突破の狩野英孝「自分なんてまだまだ」 刺激を受ける新世代の発想と還暦・大先輩の背中
SNSやAI全盛時代に「頑張って追い付こうとしている自分がいる」
生き残りが厳しい芸能界。その中で狩野は昨年、芸歴20年の大台を突破した。長い間、表舞台で活躍できている理由に、時代の変化にアジャストしようとしていることを挙げた。 「SNSやAIが広まっていく時代・文化の中で、頑張って追い付こうとしている自分がいるなと思います。日本人のすごくいいところは、『古き良き』を大事にすること。例えば、メールよりも手紙の方がいい、電卓よりそろばんがいい、そういうのもすごくいいんですけど、凝り固まってしまう可能性がある。毛嫌いせず、1回やってみようかなと。僕もいろんな番組、イベントをやらせていただく中でベテランのスタッフさんと仲良くさせていただいてきましたが、新しい社員さんとか、20代前半の新しい方々の考え方は尊重していきたい。『そういう考え方もあるんだ』と、一緒にタッグを組んでやってこれたのが良かったのかなと思います」 10月に決勝が行われたコント日本一決定戦「キングオブコント2024」でも、2000年代初頭からの変化を改めて感じたという。 「僕も芸歴20年を超え、一生懸命ネタやコントをやっていた時代もありましたけど、こないだの『キングオブコント』を見て、『この発想はもう無理だ』と思いました。『こんな設定作れない』と(笑)。これは若い子たちの頭脳の素晴らしさであって、僕らの先輩のいわゆるコント師の方がもめちゃくちゃおもしろいですけど、また別な感覚です。古き良きもあり、新しき良きもあり、上手くミックスして取り入れていくのが一番いいのかなと感じています」 狩野も来年2月には43歳となる。それでも、「自分なんてまだまだ」と笑い飛ばす。 「僕がテレビを見ていたとき、芸人を始めたときだったら、僕の年齢(42歳)は人によっては『師匠』と呼ばれたり、『ベテラン』と呼ばれたりする位置だと思います。でも、この歳になって周りを見てみても、自分なんてまだまだなだと思います。若手の発想から衝撃を受けることもあるし、正直、『もう体を張るのはしんどいかな』と思うこともあるんですけど、上を見ると事務所の先輩に出川哲朗さん(60歳)がいて、還暦を迎えていまだに身体を張っている姿を見ると、まだまだマイナスなことは言っていられません。どんどん身体を張っていきたいし、いろんなことに挑戦していきたい。その挑戦も楽しみながらできているので、仕事としてやるのではなく、遊びの延長線上でやっていく姿も見ていただければと思います」 どんな環境にも臆することなく向き合う限り、狩野自身の進化もまだまだ続く。 □狩野英孝(かの・えいこう)1982年2月22日、宮城県出身。2003年芸人としてデビューし、「ラーメン つけ麺 僕、イケメン!」など、イケメンぶりをアピールするネタで一世を風靡した。近年はYouTuberとしても活動し、チャンネル登録者212万人(2024年11月時点)を超える人気ぶり。2016年、神主の資格を取得し、実家である櫻田山神社で神主の仕事にも従事している。
小田智史