面倒?ヘルメット着用率低迷 熊本の高校で義務化の動き
2023年4月から、道路交通法の改正により、自転車に乗車する際のヘルメット着用が努力義務となりました。しかし、着用率は低い水準で推移しています。
ヘルメット着用率低迷 通学では2%程度
2023年4月の道路交通法の改正に先駆けて、2022年10月にヘルメットの着用の努力義務を条例で定めた熊本市。熊本市自転車利用推進課によると、着用率は8%で、横ばいの状態が続いているといいます。なかでも、通勤で自転車を利用する人の着用率10%に比べて、通学での着用率は2%程度にとどまっています。 自転車利用推進課の酒井伸二課長も「子どもたちの命を守るという点からみても、高校生などにいかにヘルメット着用の大事さを分かってもらえるかが、キーになるかなと思っている」と語ります。
熊本県警のまとめでも、2023年に起きた自転車による死傷事故で、ヘルメットの着用率は、小中学生に比べ、圧倒的に高校生が少ないことが分かりました。
高校生がヘルメット着用しない理由
高校生がヘルメットを着用しない理由については、熊本市がアンケートを実施しています。 ◆かぶるのが面倒だから 51.3% ◆みんなが着用していないから 43.2% ◆髪型が崩れるから 40.8% ◆格好が悪いから 28.5% ◆事故にあわないと思うから 4.7% (熊本市内のモデル校4校調査) 熊本市の熊本工業高校では、道路交通法が改正された1年前、ヘルメットを着用する生徒は10人に満たなかったといいます。浦上智行教諭は、「私たちも推奨はしたけれどもなかなか増えなくて。周りもしてないから、いいんじゃないかなっていうのは、あったのかなと思います」と話します。 こうしたなか、熊本工業高校では、2024年度から、自転車の通学条件に、ヘルメットの着用を義務付けました。
4月から義務付けた熊本工業高校 変化は
全生徒の約9割、1000人以上が自転車通学をしていますが、着用率はほぼ100%。たまに忘れてくる生徒がいるぐらいです。 自転車通学をしている生徒も「ちょっと抵抗があったけど、安心感はある」、「面倒くさいけど自分の命が守れるから、無駄なことではないなと思っています」などと語ります。 2023年10月に熊本県教育委員会が県立高校の自転車通学生を対象に行った調査では、着用率は、わずか3%でした。そこで、熊本県教委では、熊本工業高校のような取り組みをに広げることにしました。 県学校安全・安心推進課 大塚一幸審議員 「各学校にまずは2025度から、自転車利用のヘルメット着用を自転車通学の許可条件化をすることを念頭に、取り組んでくださいということでお願いをしたところです」
学校以外にもヘルメット着用率アップを目指した取り組みが広がりつつあります。熊本県多良木町では、ヘルメット購入に上限2000円、長洲町では上限3000円の助成を始めました。また、熊本市の電設会社「SYSKEN」では、2023年10月から自転車通勤の社員に、上限3000円を助成しているといいます。 自転車のヘルメット着用は、努力義務だからではなく、命を守るため。子どもにすすめるだけでなく、大人も態度を示すことも必要かもしれません。