引き揚げ拠点訪ねる 飯田日中友好協会が5年ぶり訪中団【長野県飯田下伊那】
長野県の飯田日中友好協会と満蒙開拓平和記念館は7~10日、5年ぶりとなる訪中団を結成し、終戦後の1946~48年に満蒙開拓団員などの引き揚げの拠点となった遼寧省の葫蘆島(ころとう)市などを訪ねた。 葫蘆島市では市役所を表敬訪問し、同市人民対外交友好協会の幹部らと懇談。担当者の案内で市内にある日本人送還記念碑を視察した他、現在は軍港になっていて立ち入れない港を丘の上から見学した。 引き揚げ船が日本に向けて出港した渤海に面する港で、満蒙開拓団員を含む日本人約105万人が船に乗り込んだとされる。訪中団の中には3歳の時にこの港から帰国した喬木村伊久間の農業、増田隆さん(81)の姿もあった。 父親の仕事で同省に隣接する吉林省公主嶺市で終戦を迎えた。父親が戦死し、母親と生後10カ月の弟と船に乗った。記憶はないが、弟を背負って歩いた母親の姿が浮かんだといい、「残留孤児になる寸前によく引き揚げられたと実感した」と語った。 訪中団は飯田下伊那在住者を中心に17人で結成。葫蘆島から引き揚げ船に乗り込む人の列を描いた縦3メートル、横20メートルの巨大画「一九四六」の作者で中国人画家の王希奇(ワンシーチー)さん方も訪ねた。昨年3月に同記念館で展示したことが縁で、瀋陽市にある王さんのアトリエで再会を喜び合った。清水可晴団長は「今回の経験をかてに、平和活動、友好活動を前進させたい」と話していた。