アンソニー・ウォンがいぶし銀の演技で魅了する香港映画『白日青春-生きてこそ-』が公開中
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香港の名優アンソニー・ウォンの演技で浮かび上がる、哀しみと絆がつなぐ一筋の希望──『白日青春-生きてこそ-』
香港は何十年にもわたってアジアの難民申請の中継地だった。1970年代、白日(アンソニー・ウォン)はコンパスだけを頼りに中国本土から泳いで香港に逃れてきた。上陸目前に妻を亡くし、タクシー運転手をしながら故郷から一人息子を呼び寄せて育てたが、11歳で故郷に置き去りにされたことからわだかまりが解けない息子は、父と距離を置いている。 そして白日が出会う9歳の少年ハッサン(サハル・ザマン)は、パキスタンを逃れて香港で10年間、難民申請が下りるのを香港で待っている両親のもと、この街で生まれた。働くこともできない、ぎりぎりの生活の中、元弁護士の父に息子を甘やかすゆとりはない。 自分もかつて難民だったはずの白日は、ハッサンらを不法滞在者と差別していた。そんなある日、大きな悲劇の引き金を引いてしまった罪悪感から、白日はハッサンのために奔走することに……。
白日を演じるのは、『インファナル・アフェア』や『エグザイル/絆』など香港ノワールの名優アンソニー・ウォン。本作ではスターオーラを封印し、酒で孤独を紛らわす不器用な中年男を時にコミカルに演じ、台湾の第59回金馬奨で最優秀主演男優賞を受賞。 厳しい運命に翻弄されるハッサンを好演した10歳のサハル・ザマンも、映画初出演にして昨年の香港電影金像奨で最優秀新人俳優賞を手にしている。 監督のラウ・コックルイは、マレーシアから香港に移住し、本作で監督デビューを飾った新鋭。同じ移民の立場から、香港に流れ着き、孤独や明日への不安を抱えて生きる人々に光を当て、香港の夜の灯りの下に二組の父と息子の哀しみ、そして一筋の希望を浮かび上げて魅せる。 『白日青春-生きてこそ-』 1月26日(金)よりシネマカリテほか全国順次公開 BY REIKO KUBO