2話考察『海に眠るダイヤモンド』鉄平(神木隆之介)たちの複雑な関係!
似たもの同士の百合子と玲央?
1話を観たとき、令和の時代を生きる冴えないホスト・玲央(神木隆之介、二役)が生きる歌舞伎町は、ちょっと端島に似ているかもしれない、と思った。街はどこまでも地続きだけれど、歌舞伎町という狭い地域に夜の店がひしめきあっている。その特殊な“密度”が端島の姿に重なったのだ。けれど、1話で活き活きと暮らす、エネルギーの変革はうっすらとその影を見せてはいるものの、まだまだ石炭が中心の時代の端島の人々は、輝いて見えた。すぐさま歌舞伎町と端島とはやっぱり違うのだ、と思った。 しかし2話では、玲央自身が端島の人々に自分の境遇を重ねる。おそらくは軽い気持ちでホストの世界に足を踏み入れたはずなのに、客に飛ばれ、店への借金を背負い、「内臓でも売るか」と言われるところまできてしまう玲央。キャバクラで稼いだ金をホストに注ぎ込んでしまうキャバ嬢・アイリ(安斉星来)と、似た者同士として友情を深める。「ずるいよ、一人だけ抜け出すなんて」「どこへ?どこへ行けばいい?」という会話を交わしながら、結局アイリはその夜もホストクラブに行こうとする。玲央もアイリも、ここから抜け出せない。 「ここはさ、端島みたいな島じゃないからさ、水道も通ってるし、道もつながってるし、どこにでも行けるはずだった。でも、なんで同じとこぐるぐるしてるんだろう」 電話をかけてきたいづみ(宮本信子)にそう話す玲央。 一方で昭和の端島で、百合子も「どこへも行けない」思いを抱えていた。「端島だから好き勝手してられる」という自覚を持ちながらも、「どうして端島には家出する場所がないのかしら」と逃げ出したい思いを持っている。そんな百合子こそ、案外玲央と似た者同士なのかもしれない。 飛んだ客を見つけて支払いを迫ったために警察に一晩留置されてしまった玲央は、いづみの家に身を寄せる。和馬(尾美としのり)に「荒木鉄平です、なんちゃって」と挨拶をする玲央。昭和と令和が重なってゆく。