天鬼ぷるるの『VRChat』握手会が大盛況 VTuberとの相性は意外に良好?
■天鬼ぷるるがバーチャル握手会を開催 VTuberと『VRChat』の相性やいかに 【画像】市販モデルをカスタムして制作された『VRChat』版の天鬼ぷるる VTuberの天鬼ぷるるの握手会が、8月18日に『VRChat』で実施された。いま絶好調のストリーマー・スタンミが企画したこの握手会は、内容自体はシンプルだが、『VRChat』とVTuberを絡めた企画としては白眉だった。 まず、3Dモデル未所持である天鬼ぷるるのアバターは、市販アバター『ルーシュカ』のカスタマイズによって実現した。いわゆる「アバター改変」と呼ばれる、『VRChat』ユーザーにはなじみ深いアバターのカスタム文化を、そのままVTuberの活動用モデルに適用した形だ。クリエイターの協力によって実現した“VRChat版の天鬼ぷるる”ともいえる姿は、元のデザインを踏襲しつつも、Live2Dモデルの面影を感じさせる仕上がりだ。 握手会の内容もよく考えられている。700人の応募に対し、VRモードで参加できる人から40人をピックアップした参加者は、思い思いのアバターをまとっていた。おそらく権利上問題のない範囲であれば、アバターは自由だったものと思われる。参加者のアバターにはデフォルトで選択できるものもあれば、天鬼ぷるるのデザインに寄せたもの、痛バッグや推しうちわを持参したものなど、手の込んだものもあった。アバターを通した自己表現が盛んな『VRChat』カルチャーをよく理解した采配だ。 「剥がし」の存在もユニークだ。現実の握手会にはつきものの存在だが、『VRChat』ではデフォルトだと他のユーザーを引っ掴んで動かすことはできない。しかし、この握手会では他ユーザーをつかむことができるギミックを導入し、40人の参加者を時間内にうまくおさめるようさばいていた。また、その役回りをスタンミ自らが買って出ていた点も好印象だ。結果として、本イベントには現実の握手会における刹那的な触れ合いの醍醐味が宿っていたように感じる。 そして、握手会だけで終わらせず、天鬼ぷるるへ脱出ゲームを仕掛けるなど、配信向きなエンタメも用意されていた。囚われた参加者を助ける展開も用意することで、単なる握手会以上の一体感が生まれた、良質なファンミーティングイベントとして完成されていた印象だ。バーチャルタレントがソーシャルVRでどう活躍し、ファンと触れ合うことができるかを示す好例が、一つ増えたと言えるだろう。 ■ぶいすぽっ!の海外展開が進む にじさんじでは新ユニットデビューの一方、卒業者も ここ最近はぶいすぽっ!の海外進出が目立つ。8月11日には中華圏プロジェクト「卟啵电竞project(VSPO! CN)」が始動し、1期生4名のデビューが発表された。ぶいすぽっ!では初となる中華圏への進出だ。8月22日には『VSPO! EN』の2期生デビューも発表され、海外展開への注力姿勢がうかがえる。 にじさんじからも新人ユニット・Specialeがデビューした。女性3名・男性2名の5名編成ユニットで、カフェレストランに勤めている設定を持つユニットだ。ゆるゆり』などで知られる漫画家、イラストレーター・なもりがデザインを担当したタレントも見られ、オリジナル楽曲がデビューと同時に発表されるなど、直近のにじさんじは同期ユニットのプッシュが明瞭だ。 一方で、2018年デビューのベテランである成瀬鳴の卒業・活動終了が発表された。さかのぼれば、現所属タレントの春崎エアルとともに「にじさんじVOIZ」からデビューし、同枠解散後は「にじさんじSEEDs」にて活動を開始するという、なかなかに稀有な経歴をたどった一人だ。またひとり初期にじさんじタレントが去る一報に、年始からただよう環境変化の空気は引き続き感じられる。 VRHMD『PICO 4』新型が登場 安価なモーショントラッキングデバイスも 先週はVRデバイスの新顔が現れた。PICO社によるVRヘッドセット『PICO 4 Ultra』だ。同社が2022年に送り出した『PICO 4』のアップデートモデルに位置づけられ、おおまかな外観はそのままにMR(複合現実)表現の強化、空間ビデオ対応、ハンドトラッキング、コントローラー形状の変化など、さまざまな点に拡充・変更が見られる。方向性自体は、『Meta Quest 3』が目指すところに近い。その先にいるのは『Apple Vision Pro』だろうか。 興味深いのは、モーショントラッキングデバイス『PICO Motion Trackes』が合わせて発表された点だろう。これは両足首に装着する27gの軽量デバイスで、『PICO 4 Ultra』と連携して全身の動きがトラッキングできるとのことだ。コンパクトなサイズ感と、2台で動作する手軽さがセールスポイントとなるだろう。日本円で8000円~9000円におさまる価格感も特徴だ。 そして、『VRChat』との連携も大々的に発表された。『PICO 4 Ultra』と『PICO Motion Trackes』を身に着け、『VRChat』でいきいきとアバターを動かすデモ映像から、このデバイスをどこに売りにいきたいかが感じ取れる。日本での発売時期・価格情報などは未発表だが、未だに『PICO 4』はVRデビュー向けの一台として根強い人気がある。販売価格次第だが、『VRChat』ブームが巻き起こっている日本市場へうまく飛び込めるか注視したい。
浅田カズラ