東筑2年生山下栞汰が炎天下の中で「マダックス」下半身鍛え入学時から直球が20キロアップ/福岡
<高校野球福岡大会:東筑4-0八幡工>◇5日◇2回戦◇北九州 伝統校の2年生右腕が、夏初戦で偉業達成だ! 昨夏準Vの東筑・山下栞汰(かんた)が100球未満での完封を意味する「マダックス」を決めた。入学時から約20キロアップした最速132キロの直球にスライダーがさえる。9回を1人で投げ抜き、5安打1四球。炎天下のマウンドで体力消耗が激しい中、95球と理想的な快投劇を演じた。常磐はエース右腕、羽田野夷吹(いぶき、3年)が9回を3失点(自責1)で完投勝ちした。 【写真】「マダックス」を決めた東筑・山下栞汰 ◇ ◇ ◇ 何度も額から噴き出る汗をぬぐう。最高気温32度の酷暑。マウンドで、2年生山下が仁王立ちを続けた。 最後はこの試合で一番の試練を乗り越えた。4-0の9回1死満塁。2連打と唯一の四球でピンチを招いた。「自分が崩れたら負けると思った。気持ちでいきました」。1球ごとに雄たけびを上げる。後続を二飛、右飛に打ち取った。5安打に封じ、高校初の9回完封勝ち。球数わずか95球。100球未満での完封を意味する「マダックス」のおまけつきだ。「力配分を意識して、9回まで投げ切れた」。充実感を漂わせ、喜びをかみしめた。 8回を終えて70球。驚異的なテンポの良さだった。イニング別で9回に最多25球を費やすも、10球以内が計6イニングだ。打者33人に対しても、5球以内での決着が31人だった。青野浩彦監督(64)は「四球で点を取られるのが嫌なので。初戦はストライクを投げられる子が一番なんですよ」。今春公式戦デビューしたばかりの成長株に夏初陣を託した。打線の計10残塁に渋い表情も、持ち味の制球力を発揮した右腕には目を細めた。 冬にはポール間走などで走り込み、デッドリフトで下半身を徹底的に鍛えた。春先に球速は1年時から約20キロアップの最速132キロをマークした。県内有数の進学校として知られ、常に野球との文武両道が当たり前。そんな状況でも「目標は甲子園出場です」ときっぱり。昨夏は決勝で敗れた。今年こそあと1歩で逃した優勝旗をつかみにいく。【佐藤究】 ◆山下栞汰(やました・かんた)2007年(平19)6月27日生まれ、福岡・宗像市出身。5歳で野球を始め、自由ケ丘中では軟式野球部に所属。東筑では2年春に初のベンチ入り。目標とするプロ野球選手はオリックス山下舜平大。好きなアーティストはback number(バックナンバー)。50メートル走6秒8。177センチ、70キロ。右投げ右打ち。