EURO予選突破の裏側。セルビア代表コーチ3年目で改めて感じた欧州トップレベルの戦いの難しさと気付き【喜熨斗勝史の欧州戦記】
何百年に渡る政治的背景の影響も
セルビア代表のドラガン・ストイコビッチ監督を右腕として支える日本人コーチがいる。“ピクシー”と名古屋でも共闘し、2010年のリーグ優勝に貢献した喜熨斗勝史だ。 【画像】セルジオ越後、小野伸二、大久保嘉人、中村憲剛ら28名が厳選した「J歴代ベスト11」を一挙公開! そんな喜熨斗氏がヨーロッパのトップレベルで感じたすべてを明かす連載「喜熨斗勝史の欧州戦記」。熾烈なEURO予選の結末や、セルビア代表の今後の強化策など2023年の総括を語ってくれた。 ――◆――◆―― 2023年ラストコラムということで、今回は1年間の総括と来年の抱負をテーマにしたいと思います。 ワールドカップイヤー翌年ですが、欧州はすぐに違うコンペティションが始まります。今年の国際Aマッチウイークは来年6月にドイツで開幕するEURO2024の予選でほぼ消化。そして、まず結果からいえば、我々セルビア代表は最終節ブルガリア戦で勝点1を掴み、グループG2位でフィニッシュ。セルビア単独国家としてEURO本大会初出場を決めました。 ブルガリア戦前もそうなのですが、ミスター(ドラガン・ストイコビッチ監督)は常々「歴史を変えよう」「我々は今、歴史を作っているぞ」と“ヒストリー”を前面に押し出して、チームを前進させてきました。 ワールドカップ欧州予選は首位チームのみの出場権で、今回は5チーム中2位までが本大会出場できるレギュレーション。同組はハンガリー、モンテネグロ、リトアニア、ブルガリアで、端からみれば“余裕のあるグループ”に映っていたかもしれません。 でも前回のコラムでも書きましたが、国境が面している国同士の戦いが多い。セルビアはハンガリーに支配されていた時代があり、モンテネグロは同じ民族でメンタリティも似通った者同士。何百年に渡る政治的背景の影響があり、プレッシャーは相当ありました。 余談ですが、ブルガリア代表は最終節前にムラデン・クルスタイッチ監督を解任しました。成績もありますが、彼がセルビア人で“セルビアに忖度するんじゃないか”と言われたのも一因にあるようです。競技面以外での関わり合いが深く、理解する必要を痛感しました。
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