アマゾン、クラウド部門の売上高好調-AI需要増加
(ブルームバーグ): 米アマゾン・ドット・コムが4月30日に発表した1-3月(第1四半期)決算では、クラウド部門の売上高が過去1年で最も力強い伸びを記録した。人工知能(AI)サービスを含め技術プロジェクトへの企業の支出再開を追い風に、アマゾンで最も収益性の高い部門が不振から回復しつつあることを示す結果となった。
一方で4-6月(第2四半期)の売上高見通しはクラウド部門の好調にもかかわらず、市場予想を下回った。消費者が引き続き支出に慎重な姿勢を取る中で、アマゾンの主力の電子商取引事業を巡る懸念を反映した。4-6月期の売上高は1440億ドル(約22兆7000億円)から1490億ドルの見通し。ブルームバーグが集計したアナリスト予想平均は1502億ドルだった。
アンディ・ジャシー最高経営責任者(CEO)はここ数年、アマゾンのインターネット通販事業でコスト削減と収益性向上に重点を置き、数千人を解雇。倉庫ネットワークの効率化を推進してきた。ジャシーCEOはまた、アマゾンが今後数年で数百億ドルの売上高を生み出すと見込むAIサービスへの大規模投資も後押している。
発表文によると、1-3月期の営業利益は153億ドルで、売上高は13%増の1433億ドル。営業利益と売上高はいずれもアナリスト予想平均を上回った。クラウド部門アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)の売上高は前年同期比17%増の250億ドル。市場予想は241億ドルだった。
ブライアン・オルサフスキー最高財務責任者(CFO)は電話会見で「AWS側の顧客から力強い需要のシグナルが見られる。彼らはより大きなコミットメントでより長期の契約を結んでおり、その多くは生成AIのコンポーネントを含む」と説明。生成AIは今やアマゾンにとって「数十億ドル規模の売上高のランレートを持つビジネス」だと述べた。
ただ、それにはコストが伴う。ユーザーからの問い合わせに対応するAIチャットボットやデータ解析ツール、その他ソフトウエアは、大量の最先端コンピューターチップを利用することで初めて可能になる。オルサフスキーCFOは生成AIを含むAWSの成長を主に支援するため、アマゾンの設備投資が2024年に「有意に増加する」との見通しを示した。同社は今後数年間、データセンターの構築と運用に1500億ドル余りを費やすとしている。