第94回選抜高校野球 花巻東、春の便りに喜び 挑む「岩手から日本一」(その1) /岩手
<センバツ高校野球> 第94回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催)の選考委員会が28日に開かれ、昨秋の東北大会で優勝した花巻東の4年ぶり4回目の出場が決まった。一足早い春の便りに、選手らはガッツポーズを見せるなど喜びに沸いた。大会は3月18日、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で開幕する。【松本ゆう雅】 花巻市松園町の同校ではこの日午後3時15分、静寂な校長室でセンバツ出場決定を知らせる大会本部からの電話が鳴った。受話器を取った小田島順造校長は「ありがたくお受けいたします」と応じると、ほっとした表情を浮かべ、授業を終えた選手らが待つグラウンドへ向かった。 選手らは新型コロナウイルスの感染対策で1メートルほどの間隔で並び、吉報を受けた。小田島校長が「この春出場と決定しました。おめでとう」と伝えると、引き締まった表情で喜びをかみしめていた。 グラウンド近くでは、女子野球部員46人もメガホンをたたいて出場決定を祝った。主将の萩原日和さん(2年)は「チームの団結力がすごい。点を取られても挽回する力は日本一だと思うので、諦めないひたむきなプレーをしてほしい」と活躍に期待。隣接する校舎でも他の生徒らが喜んだ。 昨夏の岩手大会決勝では盛岡大付に敗れて甲子園出場を逃し、涙をのんだ。田代旭主将(2年)が率いる新チームは「岩手から日本一」を合言葉に練習を重ね、秋季県大会や東北地区大会を強打で勝ち進み、目標の一つだったセンバツ出場を決めた。佐々木洋監督は「4回目の出場が決まりうれしい。今年は選手の厚みがある。スーパースターはいないが、東北の代表として戦い、なんとか頂点に立ちたい」と意気込みを語った。 初出場だった09年に菊池雄星投手を擁し準優勝した先輩たちを超えるべく、新たな挑戦が始まる。 ◇盛岡の商店街で本紙号外を配布 買い物客らエール 毎日新聞は28日午後、花巻東のセンバツ出場決定を伝える特別号外を盛岡市の肴町商店街で配布した。買い物客ら通行人が次々と受け取り、「決まって良かったね」などと言いながら紙面に見入っていた。 散歩中に号外を受け取った同市の猪狩恵子さん(72)は「大谷翔平選手の活躍に続き、うれしいビッグニュース。ぜひ甲子園で活躍してほしい」とエールを送った。【安藤いく子】