米国に次ぐ「ウクライナ支援国」であるドイツで、連立政権が崩壊したわけ
ドイツの連立政権の崩壊に伴い、与野党は12日、総選挙を来年2月23日におこなうことで合意した。 オラフ・ショルツ独首相「フランスの“核抑止力”を欧州防衛に活用したい」
なぜ崩壊したの?
ドイツの三党連立政権は「信号機連立」と呼ばれ、中道左派の社会民主党(SPD)、緑の党、自由市場主義の自由民主党(FDP)から成り立っていた。 だが、国の予算を巡る議論が数ヵ月にわたって膠着していた。英紙「ガーディアン」によれば、争点となっていたのは、福祉政策、気候対策、そしてウクライナ支援(ドイツは米国に次ぐ支援国)だったという。 そして米国でトランプの再選が決まった6日、SPDのオラフ・ショルツ首相は、FDP党首のクリスティアン・リントナー財務大臣を解任し、連立政権は崩壊した。 米紙「ニューヨーク・タイムズ」によれば、「安定した政権で知られるドイツにとって、連立政権の崩壊は異例の出来事だ」という。だがショルツ首相率いる連立政権の崩壊は「ほとんどの人が予想していたことであり、多くの人に歓迎された」としている。
国民が政府に抱える不満とは
ドイツ政府が国民にもたらした不満について、ガーディアンは次のように解説している。 まず2021年に「信号機連立」が発足してすぐ、ロシアがウクライナへ侵攻を始めた。ドイツはロシア産の安価なガスを得られなくなり、エネルギー価格と生活費は急騰。同国はまた、防衛費を大幅に増額した。 さらに最近では、極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」や反移民を掲げる左派政党「ザーラ・ワーゲンクネヒト同盟(BSW)」といったポピュリズム政党が勢力を伸ばしている。 経済が低迷するなか、こうした流れが重なり、分断の一途を辿るドイツをまとめるには「強力で統一された政府がいますぐ必要だ」という認識が国内で強まっているという。国の予算で揉めている政府に市民は不信感を抱いており、世論調査によると、政権を信頼していると答えたのはわずか14%だった。 ドイツメディア「ドイチェ・ヴェレ」によれば、これから不信任投票がおこなわれ、議会が解散した後、来年2月23日に総選挙がおこなわれる。キリスト教民主・社会同盟(CDU/CSU)とSPDの大連立が実現する可能性が高いと予想されている。
COURRiER Japon