イチローへの敬意に欠ける“研修”。プロとアマの間の垣根を取り払い、日本野球の発展のことだけ考えろ!【張本勲の喝!!】
「研修」など必要ない。せいぜい「説明会」だ
イチローには学生を指導したいという情熱と願望があるのだろう/写真=Getty Images
昨年12月に行われた「学生野球資格回復研修」の結果が出た。今回はあのイチロー(元マリナーズほか)も受講したが、まったくもって無礼千万な話。これは“喝”だ。 最高の野球の技術を持ったプロ野球の卒業生が学生たちを指導するのに、何の資格が必要なのか。授業で数学を教えるわけではない。野球の技術を伝えるのだ。ましてやイチローのような卓越した技術を持ち、球界の発展にも寄与した選手に対しては「学生を教えたいなら研修を受けなさい」などと上からモノを言うのではなく、「ぜひ指導してほしい」と教えを請うべきではないのか。 百歩譲って、アマチュア側のルールや規則があるからそれを説明したいというのなら、「研修」という名称は「説明会」に変えなければならない。それもプロ入りしてからの年数や試合数などが一定に達していない者など、なんらかの線引きをして、プロ経験の浅い者たちだけを対象にすべきだ。 確かな実績を残したプロ野球の卒業生たちに「研修」を受けろというのは、あまりにも敬意に欠けるのではないか。そもそもプロ選手とはいえ、かつてはアマチュア選手。そこで実績を積み、さらに野球に一途に打ち込もうとプロの世界に飛び込んだ者に対し、「資格回復」という言葉を使うこと自体が失礼だ。 イチローほどの男がよく研修に参加したものだと思ったが、それも彼が誰よりも野球が大好きで、子どもたちだけではなく、高校生や大学生、社会人にも指導していきたいという強い情熱と願望を持っているからだろう。私はそう理解しているし、それだけに3日間も研修を受けさせられたことに心が痛む。 高い技術を持っていても、指導者としての知識はあらためて学ぶ必要があるのではないか、だから研修は必要なのではないか、と言う人がいるようだ。もちろん、いくら選手として高い技術を持っていても、勉強と研究を重ねていかなければ良い指導者になることはできない。だが、それが今回の研修で身につくものであるとは・・・
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週刊ベースボール