来季二刀流復活で大谷翔平しか挑めない「サイ・ヤング賞&本塁打王&MVP」“夢の3冠”!…担当記者が占う
来季は「投手・大谷」も復帰し、二刀流に再挑戦する。これまでメジャーでは本塁打王、ハンク・アーロン賞(リーグ最高打者)など打撃では数々の受賞をしてきたが、投手タイトルはなし。打っては本塁打王、投げてはサイ・ヤング賞、そしてMVPと“夢の3冠”を狙う来季をMLB担当・安藤宏太記者が占った。 【動画】MVPが決まった瞬間!真美子夫人が「グータッチ」デコピン仰天行動 2024年はリーグ最強打者であることを証明し、悲願の世界一にもなった、文字通りの大谷イヤーとなった。今季は打者専念ながら2冠王に輝いて文句なしでのMVP。もちろん首位打者、盗塁王、3冠王などあと一歩で届かなかった偉業もあるが、今季達成した史上初の「50―50」(50本塁打50盗塁)に加え、2度の本塁打王、19年のサイクル安打など打者として取れるものは、ほとんどつかんだといえる。 だが、それでもまだ野球界にさらなる大きな夢をもたらせるのが大谷のすごさだ。受賞会見の中でも「本来は、ピッチングもしてオフェンス(打者)でも出続けてというのが、もちろんやりたいことで、自分に課されている仕事だと思っている」とさらりと言い放った。このまま打者に専念したとしても超一流であることは疑いようもない。だが、見据えるのはあくまで二刀流として活躍しての世界一。日本ハム時代は、15年に最多勝と最優秀防御率に輝いたように投手での活躍が目立ったが、メジャーではまだ投手の主要タイトルはつかんでいない。当然ながら、サイ・ヤング賞をはじめとしたタイトルを狙っていくことになる。 大谷の野球人としての軸は、実は打者ではなく投手だ。5月には、投手での登板を「独特の緊張感があると思うので、それは恋しいといえば恋しい」と表現したことがあった。バットを持てば緊張知らずだが、登板前の独特の緊張感はいまだになくならないという。2度の右肘手術を受け、来季からは投手人生をかけてマウンドに上がる。 ドジャース移籍後、投手で迎える初のシーズン。右肘手術明けとあって、米1年目だった今季の山本のようにメジャーの主流の中4日ではなく、中5日以上の登板間隔を空けて先発ローテを回る可能性が高い。投手、打者としての起用法は状態を見極めながら最終的にはロバーツ監督ら首脳陣が判断することになる。基本的には21~23年のエンゼルス時代のように、休みなく登板日を含めてDHで出場するだろう。 思い返せば19年3月にイチロー氏が引退会見で「1シーズンは投手、その次のシーズンは打者としてサイ・ヤング賞とホームラン王を取ったら」「投手として20勝するシーズンがあって、その翌年には50本打って、MVP取って」と夢物語を語っていたが恐ろしいことに現実に近づいている。サイ・ヤング賞も15勝を挙げた22年には投票で4位に入るなど、本来の実力を出せば、そう遠い目標ではない。 今年7月で30歳。選手として最も脂の乗っているであろう年齢を迎えた。盗塁は投手を兼ねるため自重していく可能性もあるが、打撃面ではこれまでの二刀流に戻るだけ。本塁打王、サイ・ヤング賞、そしてMVPと漫画の世界をも超えるだろう“夢の3冠”が実現する可能性も十分だ。 昨年9月に受けた右肘手術のリハビリは順調。今季終了後に左肩手術を受けたため、来年3月18、19日に東京Dで行われるカブスとの開幕シリーズ登板は今後の経過次第となりそうだが、二刀流としてさらなる偉業に挑む2025年もまた、歴史的1年になりそうだ。(MLB担当) ◆ハンク・アーロン賞 各リーグ最高の打者に贈られる。当時の通算最多記録だったベーブ・ルースの714本塁打をアーロンが更新してから25年を記念し、99年に創設された。 ◆エドガー・マルティネス賞 最も活躍した指名打者(DH)に贈られる。73年に「最優秀指名打者(DH)賞」として創設された。マリナーズで主にDHとして活躍したエドガー・マルティネスが引退した04年に、功績をたたえて名称が変更された。 ◆サイ・ヤング賞 各リーグで最も活躍した投手に贈られる。先発投手限定のNPBの沢村賞とは異なり、救援投手も対象。55年に死去した通算511勝投手のサイ・ヤングの名誉を称え翌56年に創設された。
報知新聞社