【プレビュー】「走り勝つシューター軍団」のコンセプトを崩されてハンガリーに敗戦、オリンピック出場権獲得は最終戦に持ち越される | FIBA女子オリンピック世界最終予選
【バスケットボール女子日本代表・コラム】パリ五輪出場権を懸けてFIBA女子オリンピック世界最終予選(WOQT)に臨む、バスケットボール女子日本代表。スペイン、カナダ相手に1勝1敗で2戦を終え、最後に強敵カナダ代表と戦う。 FIBA女子オリンピック世界最終予選(WOQT)、初戦で強豪スペインに快勝したバスケットボール女子日本代表がハンガリーと対戦した。 初戦は閑散としていたスタンドは、開催国ハンガリーの試合とあって満員に埋まった。『完全アウェー』の雰囲気ではあるが、スペイン戦の勝利で士気が上がり、自信を高めた日本は立ち上がりから素晴らしいパフォーマンスを見せる。先発は初戦と変わらず宮崎早織、山本麻衣、林咲希、赤穂ひまわり、高田真希の5人。相手のシュートが外れたリバウンドを取って速攻に転じ、宮崎のアシストから赤穂のレイアップで最初の得点を奪うと、高田のスティールから再び速攻に転じて、高田が3ポイントシュートを沈める。こうして勢いに乗った日本は最初の2分半で9-0と圧倒。ハンガリーがタイムアウトを取っても流れは途切れず、12-2と早々に2桁のリードを奪った。 スペイン戦の快勝に続き、この試合でも序盤は一方的な展開となって『楽勝ムード』が漂う。しかし、オリンピック出場を譲れないのはハンガリーも同じ。前日の初戦でカナダに敗れていたハンガリーはもう後がない。そこで立ち返ったのは、高さのアドバンテージを生かしてリバウンドで譲らないことがまず一つ。もう一つは日本のスピードに太刀打ちできなくても必死に足を動かし、そのペースについていくことだった。 日本は一番背の高い高田でも185cmなのに対し、ハンガリーは208cmのベルダネット・ハーターを筆頭に高田よりも背の高い選手が5人いる。立ち上がりの日本は全員がリバウンドに参加し、スピードに乗って飛び込むことで高さの不利を埋め、それでも足りなければティップで繋いだボールを運動量を利して確保していた。これに対しハンガリーはフィジカルを生かして良いポジション取りを徹底し、単純な高さ勝負に持ち込んでリバウンドの優位を取り戻す。 リバウンドを制して落ち着きを取り戻した後は、スピードと運動量の不利を埋めにいった。ハンガリーは第1クォーターだけでターンオーバー9つ。日本の足を使ったディフェンスに煽られ、判断の余裕がなくミスを連発していたが、それでも無理を承知で走るスピードと判断のスピードを上げて日本のバスケと渡り合おうとする。その後もミスは続いたが、日本の速いディフェンスに慣れるにつれてミスが減り、後半には逆に日本のプレスをかわしてゴール下のイージーシュートのチャンスを次々と作り出すことになる。 日本のスピードと運動量に対応するのは簡単ではない。しかし、スペインとの激闘に続く2日連続の試合とあって日本の選手たちの動きはやや落ちており、そこにハンガリーが付け入る隙があった。走りの質では日本に勝てなくても、少なくとも走りの量では負けない。その姿勢が日本の「走り勝つシューター軍団」というコンセプトを崩すことになった。