道頓堀川で「にらみ」を披露する市川團十郎

　歌舞伎俳優の市川團十郎白猿が30日、大阪・道頓堀で「襲名記念『道頓堀にらみ』」を行った。 　柿色の裃姿の團十郎が、大阪湾側の堀から船に乗って現れると道頓堀の両岸に集まったファンは「成田屋！」と口々に声をかけた。 　團十郎は「大阪と市川團十郎というのは、大変ご縁が深うございまして、このたび10月の松竹座で私が團十郎の襲名披露、そしてせがれも襲名披露をさせていただくことになりました」とあいさつ。 　続けて「2代目の市川團十郎白猿が約280年前に大阪で『雷神不動北山櫻』という演目を上演しまして、大当たりしたそうでございます。それゆえに私はどうしても團十郎の襲名披露は大阪で『雷神不動北山櫻』を大阪のみなさまにご覧いただきたいと思って、この演目を選ばせていただきました」と語ると、堀の両岸から拍手がおこった。 　親子で行う連獅子について「実は東京でもたびたびお話があったんですけども何回もお断りして、新之助との連獅子は大阪でご覧いただきたいと思って選ばせていただきました」と説明。再びファンから拍手と共に「成田屋！」という掛け声が上がった。 　最後に「この襲名披露興業は、昨年5月に東京のスカイツリー634メートルの高さから始めさせていただき、道頓堀は海抜3メートルでございます。歌舞伎でよく『六方』という言葉がございまして、東西南北天地という意味がございます。天地最後の大阪道頓堀から『にらみ』を披露できますこと、私にとりまして、このようなありがたいことはございません」と感謝し、静まり返った道頓堀で「にらみ」を披露した。