英語を話せる=ゴールではない 足立学園のグローバル教育「アフリカ研修旅行」の狙い
滞在期間は年々延び、今年は13日間。現地の学校への2日間の短期留学に、かつて奴隷貿易の拠点だったザンジバル島のストーン・タウンやセレンゲティ国立公園でのサファリツアー、内陸でのバナナやコーヒー豆のプランテーション見学、マサイ族の村への訪問など、イベントが休む暇なく詰まっている。 アフリカでの経験が生徒にもたらすのはコミュニケーション能力の飛躍的な向上だという。タンザニアの公用語はスワヒリ語で、第2言語として英語を話すのは日本人と共通している。 「現地の方は初対面とか関係なく、誰とでも力強く握手をして遠慮なく話しかけてきます。現地の人たちのエネルギーに感化されて生徒が見違えて成長する姿を目の当たりにしています」 ■シャイな生徒に積極性 研修当初、帽子にサングラス姿で、シャイで消極的だった生徒が研修終盤には陽気に現地の人と英語で会話していた。積極性が身につき教員を驚かせた。 大事にしているのは、英語を話せることがゴールではなく、語学力が高くなくとも英語をツールとして用いてどう意思疎通を図るか。タンザニアでの経験は世界観を広げるとともに、自身への気づきも与えてくれる。 「異文化理解は『非常識への敬意』だと生徒には教えています。日本ではスケジュール通りに物事が進むのが常識ですが、アフリカではトラブルがつきもので想定通りに進まないことが多々あります。それを受け入れ、どうリカバリーするか。他人との考えの違いを受け入れられる器の大きさやたくましさが育つのがタンザニア研修旅行の魅力だと思います」 (編集部・秦正理) ※AERA 2024年7月1日号より抜粋
秦正理