地域の見守り企業の力で 長野県松本市が29社と協定 高齢者の救助例も
長野県松本市が平成24(2012)年に始めた「市地域見守りネットワーク協定」が広がりを見せている。新聞販売店や郵便局、宅配事業者らと協定を結び、従業員が高齢者や障害者の安否確認や子供の見守りをして、万が一の事態があれば市に通報する事業で、29社と協定を締結している。昨年は自宅で倒れていた高齢者を助けた事例もあり、市は「高齢化の進行で役割はさらに高まる」として、企業のさらなる協力に期待している。 29社目の協定は生活協同組合パルシステム山梨長野(本部・甲府市)で、22日に締結した。同組合は市内の約900世帯に食料品や日用品を専用のトラックで宅配している。市役所で行われた締結式で、同組合の古家滋子理事長は「牛のマークが入ったトラックで配送をしているので、困ったことがあったら気軽に声かけを」と述べた。同組合は山梨県内の25自治体のほか、長野県の諏訪市、岡谷市、茅野市とも見守り協定を結んでいる。 松本市の協定は新聞販売店8社との締結を皮切りに、飲料販売やコンビニエンスストア、食品宅配などさまざまな業種の企業と協定を結んでいる。直近3年間では年に20~25件ほどの通報が寄せられている。市健康福祉部の加藤琢江部長は「人口が減り、近所付き合いも少なくなる中、高齢者の1人暮らし世帯は増えている。日常の企業活動の中で異変を感じ、通報してもらえる企業の取り組みに感謝している」と話していた。
市民タイムス