『ブギウギ』えなりかずきが朝ドラに与える“スパイス” 楽団はスズ子の“第2の家族”に?
ヒロイン・スズ子(趣里)が茨田りつ子(菊地凛子)に感化され、自分の楽団を作る決意を固めた朝ドラ『ブギウギ』(NHK総合)第9週。 【写真】スズ子(趣里)の楽団のメンバー 第10週からはスズ子の楽団に加わる新メンバーが登場するが、その一人がピアニスト・二村役を演じるえなりかずきだ。 えなりは意外にも本作が朝ドラ初出演。えなりといえば、言わずもがな『渡る世間は鬼ばかり』(TBS系)シリーズで五月&勇夫婦の長男・眞役として茶の間で親しまれ、「橋田ファミリー」の主要メンバーとしてブレイクを果たした。長年に渡ってこの国民的ドラマに出演していたため、良くも悪くもそこで定着した確固たるイメージがあるからこそ、他の作品では反対にそれを生かして良いスパイスとしてえなりが登場することも少なくない。 『バイプレイヤーズ~もしも名脇役がテレ東朝ドラで無人島生活したら~』(テレビ東京系)では、第2話のシークレットゲストを務めた。出演者たちも事前に誰がゲストか知らされていない中で、即興芝居を繰り広げるという前代未聞の試みは大きな反響を呼んだが、松重豊とぶっつけ本番で繰り広げる芝居は見応えがあった。同作は、名脇役らがテレ東制作の朝ドラ『しまっこさん』に出演するという設定で、えなりは本人役に加え、劇中劇となる『しまっこさん』で意外すぎる風貌の「島の妖精」役を演じ、笑いを誘っていた。
また、印象的だったのは、ラブコメ作品がひしめき合うTBS火曜ドラマ『G線上のあなたと私』にえなりが出演していた回だ。波瑠演じるアラサーの主人公がお見合いパーティーで出会うのが、えなり扮する文房具メーカー勤務の白鳥敬一。派手派手しい名前とは裏腹に堅実そのもので、親ウケは抜群。ただ、悪気なく前のめりに話をどんどん進め、対話ができない一面も。デート時に「新居リスト」なるものを作成して持ち込む、良い人なんだけれどなぜかどこか残念な人。このプロフィールから連想されるメンズ像を、えなりが見事体現していた。 そんなえなりが、『ブギウギ』では「福来スズ子とその楽団」の最年少メンバー・二村を演じ、ピアノとアコーディオンを担当するようだ。自分の歌のスタイルを戦争によって制限され、意気消沈しているスズ子の持て余したエネルギーを発散できる場所が見つかりますように。えなり扮する二村の柔和で人懐っこい笑顔で、ささくれ立ったスズ子の心にまたパワーが漲りますように。 彼らがスズ子にとって第2の家族のような存在になるのか、スズ子の新たなるターニングポイントに注目したい。
佳香(かこ)