整備されたクルマであれば、現代でも充分スポーツ走行が楽しめるが判断が難しい
前回の記事では、ホンダS600のスペックを紹介した。水冷直列4気筒DOHCに4連キャブレターを組み込んだエンジンシステムは軽快な走りを提供してくれる。それだけでなく、車体をよく観察すると細かく見ると、隅々までスペースを有効活用している巧みな設計がなされている。 【画像13枚】2輪の技術を4輪でも活用したエンジンは、どこかバイクを走っているような不思議な感覚にしてくれるS600。その魅力は走りだけでなく、真っ赤のボディでもある 【軽快に回るエンジンにホンダを感じて 1965年式 ホンダS600】 リアを下から眺めると、タイヤの内側にアルミのブロックが接合されている。これが、リアのチェーン駆動システムだ。リアアクスル、デフなど、本来クルマのリアタイヤの間にある機構がない。おかげで、ガソリンタンクを前方に設置でき、トランクルームのスペースを確保することに貢献している。 しっかりと整備されたクルマであれば、それほどシビアにならなくとも、スポーツ走行を楽しめるホンダSシリーズ。しかし、この整備がされているか否かの判断が難しい。今回の個体はガレージイワサによってレストアされた。 電気のスイッチを入れるがごとく始動するエンジン。アクセルワークに合わせて、気持ちよく吹け上がるエンジン。リアから聞こえてくる軽快なサウンド。どれをとっても心地よいドライビングフィールを提供してくれる。 フロントフード、トランクリッドなど、オリジナルのパーツを組み込み、ドアの開閉もスムーズだ。ストレスを感じることのない仕上がりになっている。現代によみがえったS600。その魅力を存分に味わえるクルマであった。 1965年式 ホンダS600 全長 3300mm 全幅 1430mm 全高 1200mm ホイールベース 2000mm トレッド前/後 1150/1128mm 最低地上高 160mm 室内長 840mm 室内幅 1195mm 室内高 935mm 車内重量 720kg 乗車定員 2名 最高速度 145km/h 登坂能力 sinθ 0.33 最小回転半径 4.3m エンジン形式 AS285 E型 エンジン種類 水冷直列4気筒DOHC 総排気量 606cc ボア×ストローク 54.5×65.0mm 圧縮比 9.5:1 最高出力 57ps/8500rpm 最高トルク 5.2kg-m/5500rpm トランスミッション型式 前進4段 後退1段 2速以上シンクロメッシュ 変速比 1速3.290/2速2.190/3速1.430/4速1.091/後退3.89 最終減速比 5.88 燃料タンク容量 25L ステアリング形式 ラックアンドピニオン(15.1) サスペンション 前/後 ダブルウイッシュボーン・トーションバー/トレーリングアーム・コイル ブレーキ 前後ともリーディングトレーリング タイヤ 前後とも5.20-13-4PR 発売当時価格 50.9万円 初出:ノスタルジックヒーロー 2019年10月号 Vol.195 (記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)
Nosweb 編集部