持続的農業を支援 COP28「エミレーツ宣言」採択
気候変動対策と両立
アラブ首長国連邦(UAE)で30日開幕した国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)は1日、気候変動対策と農業・食料システム強化の両立を図る「エミレーツ宣言」を採択した。今年は世界中で前例のない異常気象と食料難が起きたことから、宣言の賛同国が増加。岸田文雄首相ら134の国・地域の首脳級が採択に応じ、気候変動に「緊急適応する」ため、農業者支援などの施策に取り組むことを確認した。 同宣言は、現状認識と必要な施策、実現への行動目標で構成され、1日の首脳級会合で採択。開催期間中に2025年までの行動目標を話し合う。 日本農業新聞が入手した宣言案によると、現状認識では、「干ばつや洪水などの気象災害で食料の安定的な生産と供給が脅かされている」と指摘。「農業・食料システムが、小規模農家や家族農業者を含む数十億人の生活を支えている」とし、産業革命後の気温上昇を1・5度未満に抑える「パリ協定」達成のためのいかなる道筋でも「農業・食料システムを包摂しなければならない」とした。 各国が取り組む必要施策としては、自然の保護と回復を図りながら、持続可能な食料安全保障や技術革新への資金・技術支援をする必要性を確認。気候変動で生計が脅かされている農業者らが「働きがいのある」仕事を維持できるよう支える必要性も挙げた。 「食料安全保障を促進する」ため、貧困や飢餓に陥りやすい女性や子どもへの社会保護制度やセーフティーネット、学校給食の充実も確認した。 行動目標では、温室効果ガスの削減計画などに農業・食料分野の対策を盛り込むことや、食品ロスや生態系の損失・劣化の削減、行政や民間団体からの資金供給、生産者の所得増加、国際ルールに則った「透明性のある貿易」を掲げた。 日本は「みどりの食料システム戦略」に基づき、イノベーション(技術革新)で食料生産拡大と気候変動対策を両立させる。農水省輸出・国際局の交渉担当者は「スマート農業など技術開発をさらに進め、持続可能な農業を実現し、その技術で世界に貢献したい」と語った。
日本農業新聞