FA人的補償に4つのパターン 阪神、西武、横浜DeNAはどれを選ぶ?
いよいよFAの人的保障の選手リストの提出期限が近づいてきた。西武から楽天にFA移籍した岸孝之の期限は、この7日、オリックスから阪神へ移籍した糸井嘉男の締め切りは8日だ。西武、オリックス共に人的補償を求める方針を固めており、28人にプロテクトを除いたリストを相手球団から提出されることになっている。 では、どういう選手がリストに残り、補償を求める側は、どういう選手を選ぶのか。 選ぶ側の立場から、過去のFAの人的補償を見ると、おおよそ、4つのパターンに分類される。 (1)弱点補強型 (2)将来性重視の若手指名型 (3)敵チームの戦力ダウン型 (4)ビッグネーム狙いのチームへの刺激型の4つである。 (1)弱点補強型の代表的な一人は、2014年に巨人から西武に人的補償で移籍した脇谷亮太だろう。レギュラー二塁手の片岡治大がFAで巨人に移籍すると、その抜けた穴を、そのまま巨人で準レギュラーだった脇谷で埋めた。脇谷は、開幕戦から「一塁・6番」でスタメン出場、三塁や代打などユーティリティープレーヤーとして96試合に出場、2本塁打、打率.263の成績だったが、サヨナラや決勝打など重要な役割を果たした。 結果的に脇谷は、FAで巨人に里帰りしたが、人的補償が戦力になった典型例だろう。 また次に紹介する(2)の将来重視の若手指名型で獲得しながら、結果的にチームの弱点補強となったのが、同じく2014年に巨人から広島に人的補償で移籍した一岡竜司だ。 前年に2桁勝利を挙げた先発ローテーションの一人、大竹寛を巨人にFAで奪われた広島は、課題だった中継ぎ強化のため、まだ入団3年目の一岡を獲得した。一岡はその年31試合に登板、2勝2セーブ、16ホールド、防御率0.58と大活躍して、勝利の方程式の一角を担った。その後は故障に苦しんたが、絶好の弱点補強になったパターンの一人だ。 (2)将来性重視の若手型は、まだ2年目、3年目で、プロテクトから外された若手選手の将来性を買うパターン。ドラフトの延長線のようなイメージだ。ヤクルトは、2015年に巨人に移籍した相川亮二の人的補償で、巨人から奥村展征を獲得したが、彼は日大山形からドラフト4位で入団して1年しか経過していない2年目の19歳の内野手だった。過去の人的補償で最年少。ヤクルトはイースタンリーグからその能力をチェックしていて、将来性を買ったという。あくまでも比較論だろうが、中途半端な中堅選手よりも、奥村のポテンシャルを評価したものだ。通常、入団後、3年までの若手を横取りされることをリストを提出する側も危惧してプロテクトする傾向にあるが、28人の枠に収まりきらない場合もある。