肥満症治療薬によるピンチをチャンスに、大手食品メーカーが打つ布石
(ブルームバーグ): 新たに登場した肥満症治療薬は食品・飲料メーカーの株式時価総額を何十億ドルも押し下げた。しかし、これら治療薬は、需要が伸び悩むこともあった製品の需要を押し上げてもいる。その一つがヨーグルトだ。
フランスの食品大手ダノンは、米国で高タンパク・低カロリーのヨーグルトの需要が伸びていると説明。その背景には、ウゴービやイーライリリーの「ゼップバウンド」への熱狂もあるとした。
ダノンのユルゲン・エッサー最高財務責任者(CFO)はインタビューで「当社のプロテイン・ヨーグルトの品ぞろえは非常に豊富で、それが飛ぶように売れている」とし、「これらの製品はGLP-1受容体作動薬を使用している消費者や、体重や健康を管理したい消費者にとって魅力的なのだろう」と語った。
ダノンは少なくとも現段階では、GLP-1受容体作動薬の利用者を対象にした明確なマーケティングを行っているわけではない。しかし、スイスの食品大手ネスレは一歩踏み込んでいる。同社は肥満症治療薬を使っている人に向けた新しいウェブサイトを開設。そこでは、タンパク質が多く含まれる商品や抜け毛を防ぐビタミン剤などを紹介している。
米国では約3000万人がGLP-1受容体作動薬を試したことがあるとされ、その波及効果は小売業や旅行業に及ぶなど消費シフトを巻き起こしている。
アイスクリームやチョコレートバーなど、食品メーカーの利益を従来支えていた商品の売り上げは肥満症治療薬の登場で減少した。こうした逆風の中で食品各社は、栄養豊富でそれほど満腹感をもたらさない食事を求める肥満症治療薬利用者が、新たな加工食品やビタミン、サプリメントに目を向けることに賭けている。
原題:Big Food Tries to Offset Obesity Drug Blow With Vitamins, Meals(抜粋)
--取材協力:Madison Muller、Jacqueline Simmons、Sam Hall.
(c)2024 Bloomberg L.P.
Dasha Afanasieva, Deena Shanker